メモ帳用ブログ

色々な雑記。

2021-01-01から1ヶ月間の記事一覧

黒山村のあの局面での高皓光は、村人を助けるために白小小を倒すのも、白小小の村人に対する復讐を手伝うのも正解ではなかったとされている。さらに何もせず傍観者になるのはもっと不正解だった。では選択肢は不正解の3つしかなかったのかというとそれもまた…

ヤクザってのは独善で自分たちの考える大を救って自分たちの考える小を犠牲にする典型だ。独善の塊ではあるけど国や共同体の統治が本当にどうしようもなくなっている時には必要とされることがある。義賊や侠客がそうだ。中国は国土が広く、易姓革命も何度も…

日月同错の世界の運命や天は、人によって不公平な扱いを受けた白家に対し、不公平を是正する機会を与えたわけじゃない。白大の家族が村人によって無残に殺されることを運命や天が決め、柄になくすべてを救いたいと思ってしまった姜明子を因果律によって妨害…

日月同错(屍者の13月)は中国人が中国人向けに描いた伝奇漫画だ(中国語的な意味でなく日本語的な意味での伝奇)。中国史要素も中国的ファンタジー要素もわかっている人向けの描写で、わかっていない人向けの説明はほとんど入らない。だから自分が読む分に…

エンタメ作品ならその作品の狙いはなるべく早く滞りなく飲み込めるようになっていると見やすい。後でどんでん返しする場合ならなおさら最初はミスリードした狙いをうまく届ける必要がある。 ハリウッド映画の『All You Need Is Kill』は日本のライトノベルが…

中国の農村の支配層といえば郷紳だけど、黒山村の村長はどう見ても科挙を受験したことがあるふうではない。中央を見たこともないくせに地元にひっついたままで一端の有力者を気取る小中地主といった雰囲気だ。 村長という役職は清代では公的な役職でも一般的…

日本で馬賊というと、専ら、清末から中華民国期に満州で活動していた騎馬盗賊団のことを指す。中国でもその馬賊が特に有名な馬賊だそうだ。ただ中国語の马贼(馬賊)は、馬泥棒と騎馬盗賊団の全般というもっと広い範囲を指す。屍者の13月で言及された馬賊は…

日月同错は閉じた世界では円満な解決のしようがなかった問題を解決しようとする話だ。外と繋がることで新たな力や科学技術を手に入れる。それを武器に自然の脅威や旧弊を克服する。社会進化論的なイデオロギーが強く打ち出されている。そういうテーマ性のせ…

南北朝の白大の事件も清朝の白小小の事件も、同月令に選ばれし人間が運命の操るシナリオに組み込まれて悲劇が引き起こされた。特に清朝の事件は主人公の高皓光が妙に現代的な正義感で村の問題に首を突っ込んで事態がどんどん悪くなったのに、最後には何もで…

姜明子が第2話で高皓光を巻物に触らせてどこか危険な場所に飛ばそうとしたのは高皓光の伝承者としての資質を試すためだ。飛ばした時点では高皓光がどこに降り立つかを姜明子はまだ知らなかった。あくまで試験なので、もし死んだらそれまでと割り切って何も手…

現実の徐州付近は平地だし項羽が彭城を都に定めたりと昔から栄えている場所だ。作中の山奥のど田舎という扱いは不思議だ。でも徐州府近くの黑山村(黒山村)という現実の地名を使って現実にない惨劇を描く以上、地形的特徴まで一致させるのはまずかったのか…

高皓光は取り残された子どもたちを助けるために最初に黒山村に入ってくれるのは宣教師だと考えている。それは前の投稿でも引用した 「你的想法我们明白,不用担心,我们之后会找人来照顾那些小孩,江苏这里有很多天主教堂,他们可以收留那些孩子。我们师傅跟…

現実的に考えて黒山村に取り残された子どもたちのことを心配していたけど、あの世界で大ワープがバンバン使えるのなら全くの取り越し苦労で済むんだよね。 徐州府周辺は平地のはずだけど黒山村はとにかく山村らしい。近くの村と合わせて3村が1年以上屍者に支…

寄生獣は人間を乗っ取る怪物ものにありがちな、宿主の魂が寄生生物に影響を与えるとか、ここぞという時に抑え込むとかの展開が皆無なのが特徴だ。主人公が身内の肉体と対峙する時さえその例外じゃない。実写版だと少し違ったような気もするけどよく覚えてい…

日月同错の三眼は血も涙もない宇宙的生命体(最近だとまどかマギカのキュゥべえとか)と捉えていいなら悪くないキャラだと思うし、そういう意図が少なからず込められたキャラのはずだ。この手のキャラはエンタメだと自分の従う法則に忠実なあまりに自滅する…

高皓光たちが黒山村を出発した後のルートについて。 1906年に高皓光たちが住む大別山脈付近と徐州付近にある黒山村は400~500km離れている。 高皓光たちは朝食時に飛ばされて昼食前に戻ってきた。昼食中に「この2日の間にそんなことが」と言われたので日付が…

屍疫っていうのは、自分の黒血を井戸に混ぜて人間に飲ませ「体力のある者にはなかなか効果は表れないが確実に体を蝕んでいく… 最初は体の一部がなくなり 最後はすべてが失われる」という恐ろしい術だと第4話で姜明子が説明していた。ただし中文版だと「缓缓…

表示が崩れる時はスタイルシートが読み込めていないようだ。 https://web.archive.org/web/20190408102314cs_/http://syzg.fanfannet.com/Home/Public/Css/index.css web.archive.org

中国でも、白大の幼い息子・妻・年老いた母親が体をえぐられて殺害されて木に吊るされるって展開を漫画で絵として描ける。こちらは子どもは亡くなってないけど、三百人近くが女性や老人を含めて虐殺されるって展開も描ける。黒山村のエピソードはシナリオが…

一応、西暦525年の三眼が村人をゆっくり吸収していたのは、ちょうどいい速度で吸収を続けたからということなんだろう。中文版の第7話だと三眼が白大を傀儡にして村人を殺害したことを語るセリフで「用神通加速吸收了那些真正有罪之人,即便过快的吸收反而对咱…

黒山村の住人たちは白小小や三眼も含めてみんな謎めいた行動を取るから大それた裏でもあるのかと疑ってしまうけど、実際はみんな馬鹿で怠惰なだけだ。村人の裏なんて精々が場当たり的に仲間を裏切ってしまったことを隠したい程度の矮小なものだ。ついでに明…

日本語版だと第6話で白大は最初から半年かかることを覚悟して旅に出ているけど、中文版では内容が違う。だからたとえば4ヶ月で往復できる予定で周りにもそう言っていたのに、三眼の妨害のせいで半年かかってしまったような可能性もある。この場合村人が暴走…

西暦525年も、西暦1906年も、黒山村の人間は三眼がいなければごく普通の村人のままでいられたけど、運命に翻弄された途端にすぐに身近な人間を裏切ってしまった。芯のない日和見な人間ばかりだが、それが普通の凡人だ、と人間から距離を置きがちな姜明子は考…

白大の一家に不穏な噂が流れ始めたのは白大が旅立ってからだと明言されている。それ以前の白家と村人は信頼しあっていた。半年後に白大が帰ってきた時に家族は殺されたばかりだった。本当にわずかな差で間に合わなかったことになる。もし姜明子があの時すぐ…

黒山村の人間の性質はいかにも典型的な稲作地域の農民って感じ。でも断定する材料にはできない。

あの世界の季節感について考えたらよくわからなくなった。たぶん厳密に考証していない部分だ。季節感は真面目に扱わない作品も多いからそれはいいけど、季節から時間経過を推測するのは無理っぽい。 とりあえず、黒山村のエピソードの最後でたくさんの色付い…

西暦に姜明子が三眼を自害に追い込んだ時点では、まだ白大の家族は村人から危害を加えられていなかった。だから姜明子が現時点ではまだ運命に抗えないことをわかっていながら白大をすぐに家に帰そうとしてみて、案の定運命からの妨害を受けて、珍しく感傷的…

際限のないやり返し合いがエスカレートしていく部分は流石に意識してのものだと思う。 何の確認もせずおせっかいをした上に傀儡の頭部をぶつけてしまった高皓光と黄二果が白小小から文句を言われる。白小小は三眼に命令されて高皓光と黄二果を生贄として連行…

血沸き肉踊るアクション時代劇は、開き直ってシグルイくらいゴリゴリの封建社会を舞台にしたほうが素直に楽しみやすい。偉くて強い人間の命令は絶対。侍は命の取り合いを至上の喜びとしてこそ侍。大抵のことは殺される方が悪いの一言でケリがつく。そういっ…

良識人の白大が街に助けを求めないくらいだから、黒山村の人間が外に助けを求めようとしないのは本当にご都合的な問題なんだよな。外に接触できれば問題が解決できるから接触させられない。 村に医者がいなくて文字の読めなかった白大が頑張って医術を学んだ…