メモ帳用ブログ

色々な雑記。

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

宮崎監督は風立ちぬを制作している最中に東日本大震災が起きて映画が現実に追いつかれたと感じたそうだ。 ナマモノは生きている最中の実態を正確に捉えることが難しい。経済もナマモノなので同様だ。現在の経済の実態を正しく把握できている人間なんていない…

ハイエクは資本主義は人間疎外を引き起こしていないという説を唱えていて、説得力のある説なんだけど、宮崎監督は確実に資本主義が人間疎外を引き起こした方の従来説を取っているはず。

宮崎監督は自分の仕事は駄菓子づくりだと語っていた。それを踏まえて風立ちぬを見ると、二郎が子供にシベリヤをあげようとして拒絶される、本庄からも見識の甘さを叱りつけられる、ってシーンには含蓄がある。宮崎監督曰く、二郎は自分ではないそうだけど。 …

realsound.jp短くまとまったいいレビュー。「ピラミッドのある世界」とは社会的ヒエラルキーのある世界のことだ。「それでも私はピラミッドのある世界を選んだ。君はどちらを選ぶかね?」と二郎に語りかけたカプローニ伯爵は二郎にとってのメフィストフェレ…

宮崎駿監督曰く、アニメーションは駄菓子なんだそうである。ごまかしなく作るけど栄養のためにつくるものではないし、それで栄養を取る必要もないという。宮崎監督は言うことが良く矛盾する人物だけど、フィクションに耽溺する人間を良く思っていないことは…

新海誠監督もコピーのコピーのコピーな感じだけどオマージュ先の好みが合うので結構好き。

愛と幻想のファシズムとか宇宙戦艦ヤマトとか、日本のエンタメは第二次世界大戦敗北のコンプレックスが婉曲的に投影されたものが少なくない。方向性はこれらの作品と逆だが、手塚治虫先生や高畑勲監督や宮崎駿監督の作品、さらにウルトラマンシリーズや機動…

矢吹先生の昔のプライベートの話題もそうだけど、こういう気の毒な問題が起きると同情するふりをしながら面白がって悲惨な尾ひれを広めようとする根性悪が出現する。その尾ひれに元ネタがあるのを知ってると尾ひれを広めようとする人間の薄っぺらさに余計に…

薀蓄漫画とか薀蓄小説は好きだけど受け売りをそのまんま広めちゃうのは作品にも作家にも失礼だな。司馬遼太郎先生とか京極夏彦先生の作品は面白いけど、作中で採用したロマンある学説が現在では否定されているような例も少なくない。作品に薀蓄を入れる作者…

エンタメのキャラ、特に主人公は近視眼的な社会的正義に逆らってくれなければお話にならない。進撃の巨人でいうところの『「仕方なかった」ってやつ』だけで生きているようなキャラはエンタメの主人公としての積極性に欠けている。 比較的に主人公が正義の味…

昔話はみんなが知っているものだから色々なパロディの対象になる。政治的に正しいおとぎ話作者:ジェームズ・フィン ガーナーディーエイチシーAmazonこれは政治的正しさを大義名分にした表現規制の行き過ぎや、昔の創作物への改変を皮肉っている。敵対意見を…

そういえば今、白蛇伝を原案にした中国3Dアニメ映画が日本で上映されている。 白蛇伝の主人公とヒロインの前世を舞台にしたオリジナルストーリー。当然ながら敵は封建社会だ。

一昔前に『本当は恐ろしいグリム童話』などが流行っていたように、みんなの知っている昔話、古典文学、童話をパロディにして新しい作品を作るというのは定番の手法だ。芥川龍之介は杜子春以外にも古典を換骨奪胎した小説を複数書いている。 若い頃の宮崎駿監…

芥川龍之介の書いた『杜子春』と、その下敷きになった唐代伝奇の『杜子春伝』は重要な部分が正反対になっている。それについて明治大学法学部教授である中国文化研究者が解説サイトを作っている。 www.isc.meiji.ac.jp この違いは、近代日本人の価値観と唐代…

宮崎駿監督曰く、もののけ姫のサンが人間に対して抱いている憎しみは、人間が人間に対して抱く憎しみを表しているそうだ。自然が人間に対して抱く憎しみの代弁者がサンなのではない。

イェレナは言動のすべてが現実逃避の産物だからどこからどこまでが演技なのか判別しにくい部分がある。とりあえず出自は意図的に嘘をついている。「王子様と世界を救う奇跡の物語」を作り上げた件に関してはすべてが現実逃避だったのか。一片くらいは真心か…

進撃の巨人でアルミンがイェレナに言った「感動…… 致し… ました…」。これを言葉通りに解釈するのは考えなさすぎだ。まともに解釈するなら、失笑して吹いたのをごまかすために思わず感涙したことにしている。現実的に無理のあるごまかしだから、イェレナまで…

日本の文化で育っているのに、デスノートを読んで作中のキラ信者もどきになったり、進撃の巨人を読んで作中のイェーガー派もどきになったりする人間もこの世にはいるだろう。まともな判断力のある人間なら、これらが作中で強大な暴力に思考を委ねてしまうだ…

中国のウェブ小説的な意味での修仙・修真ものの最終目標っていうのは、神仙になることで不老長生と他の神仙からさえ干渉を受けない身分を手に入れることだ。そうなって何をするかでなく、そうなること自体が目的だそうだ。自分の生命を完全に自分の自由にし…

テロや暴力は私たちの心を燃やし尽くせない。怒りに身をまかせないこと、それがささやかでも意味のある“革命”であることをこの曲は私たちに教えてくれる。 ルックバックの暴力に対する姿勢は細かい部分にまで注意を払わなくてもはっきりと伝わる。さらに作中…

ロシアは国ぐるみでドーピングを行っていると判断されて、国としては東京オリンピックに参加できなかった。それでもドーピング違反歴のない選手は個人資格で東京オリンピックに出場できた。この決定には賛否あるそうだ。でも個人的には適切な判断だったと思…

大量殺人はどんな理由があろうとその場で止めるべきだし、他に手段がないなら犯人に対して実力行使をするのもやむを得ない。問題の背景や解決などを考えるのはどうしたってその後になる。

変わった動機の犯人が出ると、すぐに精神鑑定で無罪になるはずだから私刑にしようとかネットで話題にする人間が出る。被害者に思いを巡らせたり義憤にかられているのでなく、それをダシにして暴力的なことを言いたいだけだ。ろくでもない風潮だと思う。こう…

進撃の巨人で主人公・エレンはヴィリー・タイバーを襲撃する直前、かつての仲間だったライナーと接触を図った。そしてライナーが自分と同類だと確認して腑に落ちた表情をした。ライナーは少年兵に下された命令だったとはいえ、中止できなくもない状況で任務…

中国といえば、中国の小説を読んでいるとちょっとした文化の違いに驚くことが結構ある。『秘曲 笑傲江湖』を読んでいた時、口論する婚約者同士の男が女に、君も僕の名字を名乗るんだし、みたいな説得の仕方をしていてびっくりした記憶がある。中国といえば夫…

宮崎駿監督の『出発点』には高畑勲監督が寄稿している。そこでは「うんと若いころの中国への思い入れなどにもそういう側面があったが、スタジオ経営でも、彼は具体的な面白い提案をつぎつぎと思いついては繰り出してくる。まわりの者はすぐにはついていけず…

出発点―1979~1996作者:駿, 宮崎徳間書店Amazon折り返し点―1997~2008作者:駿, 宮崎岩波書店Amazon宮崎駿監督の『出発点』と『折り返し点』をざっと読み直した。 宮崎監督は1983年に出版された『未来少年コナン』の名場面集『また、会えたね!』のインタビュー…

宮崎監督の作品は大好きだし、言ってることにも本気で社会運動をやっていた人間の見識と気骨を感じる。だけど宮崎監督が理想とする社会はハイエクが批判するところの「部族社会への回帰願望」そのものだ。この点に関しては間違いなくハイエクの意見のほうが…

宮崎監督は、軍士官は身内だけで助け合っていた連中だから清太たちが餓死するような事態に陥ることはありえない、それは高畑監督もわかっているが野坂先生が嘘をついているから仕方がない、という点では火垂るの墓を批判している。 そういえば火垂るの墓に関…

高畑勲監督が映像化した『火垂るの墓』を、宮崎駿監督は次のように語った。砂漠の修道院 (平凡社ライブラリー)作者:山形 孝夫平凡社Amazon (前略)再び『砂漠の修道院』を取り上げ、当てずっぽうにひろい読む。 突然、わかったような気がする。コプト教の修…