メモ帳用ブログ

色々な雑記。

あだち充先生の漫画で一番救いがなくて現実的なのが読み切りの『天使のハンマー』。先生の漫画の好きなところは上手にウソをついてくれてちゃんとそれがウソだとも教えてくれるところなんだけど、『天使のハンマー』はかなり素で描いてる感じがむしろいい味を出してる。

長期連載だと終盤に素が漏れてきて、それとウソ・綺麗事の折り合いをどうつけるかというのがそのままテーマの落とし所になることが多い。『クロスゲーム』はウソ・綺麗事に自覚的に取り組んだ作品で、最後まで樹多村光にも月島青葉にも東雄平にもウソをついている部分がある。ウソをついたままでわかりあう方法を描いている。いわゆる精神的続編風と言えそうな『ゆく年くる年』ではまた違った角度から隠し事と綺麗事について描いていて、決してひとつの正解があるわけではないそれぞれの選択の深みが増している。『MIX』はさすがに嘘を付く体力が落ちてきて、早いうちから素が混ざってきてる感じがするんだけど、とりあえず完結するまではどういう流れになってるのか判断できないね。