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『浦沢直樹 描いて描いて描きまくる』の感想メモ② 『MASTERキートン』に対する“公式発言”

浦沢直樹 描いて描いて描きまくる』を読んだ動機の本題。『MASTERキートン』に対する浦沢直樹先生の“公式発言”の確認。著作権問題や絶版での入手困難は既に解決しているので、“公式発言”は“公式発言”として受け取っておくのが賢明だ。あと比較のために『パイナップルARMY』に対する公式発言も確認。

パイナップルARMY

ビックコミックオリジナル」にて、1985年4号〜1988年8号連載。
現在も文庫版は新品が入手可能なのでおそらく絶版にはなっていない。
クレジットは一貫して 作・工藤かずや 画・浦沢直樹

  • 企画は長崎尚志さんが持ってきた。連載途中までの担当編集者も長崎さん。
  • 唯一立ち上げに関わっていない作品。
  • 最初は別のタイトルが予定されていた。手榴弾を意味する「パイナップル」をタイトルに使ったらどうかと言ったら、長崎さんが『パイナップルARMY』と名付けた。
  • 原作(脚本)の展開に違和感があった時は、長崎さんに原作の工藤かずや先生と相談してくれるように頼んでいた。途中で長崎さんが担当から変更になり話がうまくまとまらなくなる。

MASTERキートン

ビックコミックオリジナル」にて、1988年11号〜1994年11号連載。
現在単行本とワイド版は絶版。完全版は新品で入手可能。
クレジットは
単行本・ワイド版 作・勝鹿北星 画・浦沢直樹
完全版1〜5巻 浦沢直樹 (脚本)勝鹿北星/長崎尚志
   6〜12巻 浦沢直樹 (脚本)勝鹿北星/浦沢直樹

  • パイナップルARMY』の連載中に、爆発物も自作できる最強でマッチョな主人公(『パイナップルARMY』の主人公のジェド・豪士)でなく、頭だけで切り抜けるような丸腰の優男が描きたいと林編集長に申し出た。すぐに3ヶ月後新連載へ切り替えることが決まる。
  • 立ち上げと連載途中までの担当編集者は長崎尚志さん。
  • 仕事中でもいろいろなことに関心が向いてしまう主人公にしたいと長崎さんに言った。保険調査員で元SASの教官で本当は考古学者になりたいという夢を持ちながら探偵めいたことをやっているというキートンのプロフィールは、長崎さんが考えた。
  • MASTERキートン』というタイトルは長崎さんがダジャレでつけた(バスター・キートンから?)。
  • 浦沢「連載の後半は、原作を読んで、人間ドラマの部分は僕がかなり書き換えたりして。いやあ、大変だったなあ」
  • 「交渉人のルール」(完全版第3集 第3話)では、キートンが交渉人をやっている時に寝ている描写がないのが気になった(浦沢先生は登場人物の生活感や生理現象を重視しているので)。寝かせていいですかと言ったら(誰に?)、展開が変わった。長崎さんも、犯人は寝られないけど交渉人は睡眠をとって優位な立場になることを知っていた。
  • インタビュー全体を通じて浦沢先生は勝鹿北星先生の名前を出していない。