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『MASTERキートン Reマスター』

ビックコミックオリジナル」にて、全8話を2012年第7号〜2014年第17号に断続的に掲載。
クレジットは 浦沢直樹 長崎尚志ストーリー
2011年〜2012年に出版された『MASTERキートン』の完全版と連動した企画。日本の漫画ではクレジットされたスタッフの1人がいなくなるのは珍しいけど、アニメにたとえると本編完結後に脚本家が亡くなって監督は続投でプロデューサーが脚本を担当しているような状況なので、『MASTERキートン Reマスター』はまあ正統続編になるのかな。中身もいい意味で普通に『MASTERキートン』になってたし。若干『BILLY BAT』っぽいテイストになっている気もするけどこれは先入観のせいかもしれない(ちなみに『BILLY BAT』のテーマの1つには複数の作者の間を渡り歩いて生き続けるキャラクターっていうのがあったりする)。
本編だと詳細がぼかされていたドナウ川文明が、「ククテニ文化と原ケルト文化が融合した都市」と明言されたのがファンとしては嬉しいポイント。ただ、なまじ輪郭を明確にしたせいで、その現実的な実在性には作中の基行君みたいに否定的な見方をせざるを得なくなったかも。日本史でたとえるとアマテラスと卑弥呼の繋がりを追うようなトンデモだ。キートン世界はあくまでフィクションだからドナウ川文明は存在するんだろうけど、あんまりトンデモをやるとテイストからずれるし、キートンの夢が叶う瞬間を見るのは読者にとっても夢のままにしておくのが花なのかな。『浦沢直樹 描いて描いて描きまくる』でも「僕ら自体がそもそも、やっぱり『2』はダメだね、と言ってるタイプの人間だから。そこに陥らないようにしようという意識はありましたよね」と語っているので、ドナウ川文明が立証できてハッピーエンドみたいな野暮をやるつもりなんて最初からないはずだし。
エピソードではQUEST4の「ハバククの聖夜」が1番好きだ。

BILLY BAT(1) (モーニング KC)

BILLY BAT(1) (モーニング KC)