メモ帳用ブログ

色々な雑記。

おセンチ

感傷的な描写がうまいクリエイターはそれだけで自分の中での格がぐんぐん上がる。自分が漫画をよく読むようになったのは母親の影響だから少女漫画も読むし、好きな作品も多い。主に白泉社
感傷的なラブストーリーは少女漫画っぽいというか女性ウケが良さそうなほうが売れる気がする。大雑把な印象だと女性向けは2人の心情の縺れ重視で、男性向けだと自意識のひとり相撲重視な感じ。新海監督の映画だと『言の葉の庭』と『君の名は。』は女性誌とも親和性がありそうだけど、それ以外は青年誌系。新海監督は文学部卒だけあって主人公の自意識に偏重した作品になりやすい。映像美で知られる監督だけに出身が美術系でないのが意外だ。でもエンタメを強化した『君の名は。』がまず監督自らが手掛けた先行ノベライズの出来の良さで話題になって、映画公開で本格的に火がついたことからすると、物語の基礎を学んでいた点はアニメ監督として大きくプラスになったんだろう。文章も卒なく上手い。
エンタメ強化前の『雲のむこう、約束の場所』は夢と並行世界の話で、実質的には恋愛のすれ違いにすらなっていないから恋愛アニメというとより片思いアニメ。初恋未満の気持ちが離れ離れになるうちに盛り上がっちゃって、いつの間にか自分の中心にまで育ったけどそれは本物の恋なのか、みたいな。アニメとして面白いか面白くないかでいえば面白くはない。はじめて長編に挑んだアニメなのにそれなりに形になっているところが逆に退屈。でも自分は好きだな、こういうじめっとした雰囲気。主人公だけじゃなくて親友もヒロインに初恋未満ぽかったり、でもこっちは主人公と別の道で気持ちに区切りをつけてたり、なところもいかにもで良い。オッサンたちの会話とかも。
新海監督映画の自意識空回りなひとり相撲的恋愛ものの頂点は文句なしに『秒速5センチメートル』。好きだけど言えることが何もない。なんかこう、いたたまれなさが気持ちがいい。ある意味自分にとってはエヴァの旧劇場版みたいな存在。