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色々な雑記。

シャナとfate以前の宝具

宝具という言葉についてちょっと書こうと思ったら「野球の名付け親は正岡子規なのか問題」みたいなことになった。

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baseball→野球という訳語を正式に定着させたのは中馬庚ではある。でもその前からベースボール好きの正岡子規は自分の雅号を野球(のぼーる)としていたし、2人は旧制の第一高等学校 の先輩後輩でもあった。

とりあえず、宝具(具=ぐ)という言葉を有名にしたのは2002年11月に刊行が始まったライトノベル灼眼のシャナ』と、2004年1月に発売されたPCゲーム『Fate/stay night』。両方の作品で宝具は中国民間伝承の宝貝(貝=かい・現在の中国語だと宝貝=パオペエ=ベイビー=赤ちゃん)的というか、むしろジョジョのスタンド的というか、必殺技発動の起点になるマジックアイテムとして扱われている。Fateシリーズの宝具は実体を持つ道具ではあるけどあくまで持ち主の能力が具現化したものという側面が強く、本人以外が扱おうとしても十分な効果が発揮できないという特徴がある。

宝具は基本的には辞書に載っていない言葉だ。

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ただ、ゲーム業界などでは俗語的に使われていた言葉らしい。こういう言葉の起源や元のニュアンスを追うのは難しい。

 

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1999年8月に発売されたファンタジー入門書のTruth In Fantasyシリーズ『甦る秘宝』にも宝具という言葉が出てくる。Truth In Fantasyシリーズは専門書でなく読み物で、執筆は主にTRPGのスタッフが手掛け、読者層も基本的に創作ファンタジーマニア向けだ。この本で宝具として分類されているものはホープ・ダイヤモンド、フレイヤの首飾り、黄金の指輪、玉手箱、聖遺物、打出の小槌、シルマリル、鷹の羽衣、魔笛、緑色の上っぱり、アラジンのランプ。「神通力を持った宝、万能の宝」という中国語の法宝宝貝に近いニュアンスを持ち、実体のある宝物として扱われている。

幽☆遊☆白書の1991年に掲載された部分にも宝具という言葉が出てくる。蔵馬は以前の自分について「古代の宝具や武器を専門に盗んでいた」と語っている。ここでのニュアンスははっきりしないけど、おそらく『甦る秘宝』と同じような意味合いで使っている。