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中国系SFの記事のスクラップ

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「科学普及小説」とSFの違い

――日本では聞きませんが、SF(サイエンス・フィクション)とはどう違うのですか?

 これらは「理系的に正しく間違いが無い内容を書く物」なのです。数ページにわたって数式が掲載されているようなイメージですね。「100年後には科学技術がこんなに発展している、ブラボー!」といったような……。

――共産主義イデオロギーに適っていたのですね。

 こうした政治的な意味合いもあり、科学普及小説は重要視されてきました。今でも、(科学普及小説の)作者に「SF作家でしょ?」と聞くと訂正されるくらいで、すごくプライドを持っています。今ではSFと作風の境界が無くなる傾向にありますが。

 一方、SFは想像に過ぎないことから「科学幻想」(科幻)と言われ、科学普及小説より長い間低く見られてきました。(SF独特の)想像力が共産党と合わない時代があったのです。1980年代など、弾圧される「冬の時代」を何度か迎えて作品を発表する場が無くなり、作家は苦労しました。

 その中でもSF好きの読者は集まってファンダム(同人コミュニティ)を作り、SF大会などに取り組んできました。

 

 

文学に及ぶ政治的規制―ケン・リュウThe Paper Menagerie(「紙の動物園」)の中国語バージョンを例に

近年、中国、英語圏また日本で読者を急激に増やしつつあるジャンルに中国のSFがある。その立役者となったのは、アメリカで英語による創作を行っている作家ケン・リュウ(Ken Liu/劉宇昆、1976-)であることに異論はないだろう。

⑤下線部の書き換えと削除

英:I was born in 1957, in Sigulu Village, Hebei Province. Your grandparents were both from very poor peasant families with few relatives. Only a few years after I was born, the Great Famines struck China, during which thirty million people died. The first memory I have was waking up to see my mother eating dirt so that she could fill her belly and leave the last bit of flour for me.

Things got better after that. Sigulu is famous for its zhezhi papercraft, and my mother taught me how to make paper animals and give them life.(186-187頁)
日:母さんは一九五七年に河北省四軲轆村で生まれました。あなたの祖父母はふたりとも貧農の出で、親戚はほとんどいなかったんです。わたしが生まれたほんの数年後、大飢饉が中国を襲い、三千万人が死にました。いまも覚えている最初の記憶は、目を覚ますと、母が土を食べていたのを見たというものです。そうすることでお腹を満たし、最後に残ったわずかばかりの穀物をわたしに残しておけるように。

その後、状況はましになりました。村は折り紙で有名で、母が紙の動物をこしらえて、命を吹きこむやり方を教えてくれました。(25-26頁)

中:我出生在越南,祖籍是河北省四轱辘村,那里的折纸很出名。妈妈从小就教我如何用纸折小动物,并且赋予它们生命。(224頁)(私はベトナム生まれ、祖籍は河北省の四軲轆村で、そこの折り紙はとても有名です。母は幼いころから紙でどのように小動物を折り、命を与えるかを私に教えてくれました。)

実は検閲はこれまでだんだんゆるくなっていたのが実情でした。それが、客観的に見て、今年になって厳しくなりました」といい、その理由は「検閲の担当当局が、党宣伝部の直轄に変わったからだと思います」と語る23)。2013年には中国全土のテレビ、映画、ラジオ、ゲーム、新聞、出版の報道を規制・監督する国家新聞出版広電総局が発足、2018年には再編成され、出版は中国共産党宣伝部の国家新聞出版署、映画も同じく共産党宣伝部の国家電影局の管轄に代わった。