メモ帳用ブログ

色々な雑記。

黒山村の西暦525年の事件は、伝承だと体が欠損する病気で苦しむ村人に白大が薬として屍者の血(中文版では白大の血)を与えたら治療に失敗して死なせてしまったことになっている。本来の出来事だと、村で唯一の薬師である白大が半年村を留守にしている間、狂気にかられた村人が白大の家族を殺して食らってしまい、白大は敵を討とうとしたが返り討ちにされ、元凶である三眼の命を助けてでも敵討ちを頼まなくてはならなくなった、敵討ちを頼まれた三眼は良かれと思って白大の死体を傀儡にして村人を100人近く殺害した、という経緯。村人は三眼の存在をろくに認識せず、白大と接触したことなどは全く知らないので、白大が法屍者となって蘇り復讐を果たしたと思ったはず。
個人的には伝承でも本来の出来事でも白家の子孫が迫害を受ける理由の程度としてそう違いはないんじゃと感じる。大昔の伝承や記録が正確に伝わらないのも当然のことで、誰が嘘をついたとかの話じゃない。白大の妹が白姓を残したことやその子孫が黒山村に移り住んだことだって正確に伝えられている訳ではない。妹の子孫が移り住んだ時には白家と村人はどうにかうまくやれたはずだし、だからこそ白家はずっと存続できたはず。
それでも清代の農民である黒山村村民(白小小含む)にとってどちらが先に手を出したのかという点は譲れない部分らしい。みんな家の名誉と正当性の誇示が最重要という現代日本からするとヤクザのような価値を持っている。ついでに高皓光も非常にヤクザ的。一応黄二果は先祖の因縁なんてろくでもないとは思っているけど、実力的にも役の重要度的にもツッコミ力不足。
もし伝承が正しく伝わっていれば白家は復讐の連鎖で滅んでいた可能性もあるにしても、黒山村の住人は額に目のある屍者に警戒できたかもしれないので、ほとんどの人間にとってはそちらのほうが良かったはず。
三眼の話を話を聞いたみんなの反応は日本語版だと
村長「そ…そんな まさか…」
村人「俺たちの祖先の話が嘘だった…というのか」
黄二果「うわ… マジかよ それ?」
となっていて、村人たちは三眼の話をなぜか頭から信じている。その上に先祖が無実の人間を殺したことそのものよりも、先祖が嘘をついたと無根拠に断定してそこに衝撃を受けたような表現になっている。「嘘」は強い言葉だからどうしてもそこに気持ちが引っかかってしまう。「嘘だった…というのか?」とか「間違いだった…というのか」ならすんなり読めたかも。
黄二果も三眼の話を本当だと思った上で昔の村人の所業に引いているニュアンス。
中文版だと
村長「怎会… 不该呀…」
村人「我们各家各户都有当时的(引用注:信史?)…」
黄二果「真的假的?」
村長「まさか… あるはずがない…」
村人「俺たちみんなの家には当時の(引用注:確かな歴史?)があるんだ…」
黄二果「マジで?」
村人たちは信じていた歴史とは違う祖先の悪行を信じきれずにいる。先祖が嘘ついたのを気にしてるとかそういう話じゃない。
黄二果の「真的假的?」も引いているというより真偽を疑っているニュアンス。