メモ帳用ブログ

色々な雑記。

黒山村のエピソードは厳しい現実を突きつけたいんだろうけど、少年漫画としてはエグめでも清朝末と考えるとぬるすぎてリアリティレベルが掴みにくい。少年漫画の時代考証なんて(終盤のあれこれなしでも)WJ版封神演義程度で十分だけど、作品としての世界観提示が不十分だと史実なりを参考に類推するしかなくなる。たぶん日月同错は中国製時代劇を見慣れてる本場の人間ならわかる暗黙の了解を多分に含んでるんだろう。日本でもRPG風ウェブ小説は暗黙の了解に沿った世界観が共通しているから、個々の作品はいちいちスライムどうのギルドどうのを詳しく説明したりしない。自分は清朝末を扱った中国製時代劇をそんなに見てるわけじゃないからそういう感覚が身についてない。
現実の清朝末は動乱期も動乱期。西暦1900年前後の中国(清朝末)の平均寿命は32歳くらい。乳幼児の死亡率が高く、若いうちに亡くなる人も多いので、こういう数字になる。同じ頃の日本(明治)の平均寿命は43歳くらい。清朝も安定期は平均寿命が40歳以上あったそうだ。でも清朝は最初は1億足らずだった戸籍上の人口(新王朝への恭順をためらった人間や税逃れをしようとした人間もいたので実人口は1億人以上)が4億にまで激増し、当時の生産構造では支えきれず飢饉や社会混乱が頻発。さらに欧米の進出が重なって1800年台後半には人口が減少する時期さえあった。儒教の影響か、中国は歴史的に環境収容力を超える人口爆発が起きやすいとされ、人口崩壊による王朝交代を繰り返している。動乱の前後で人口が半減することも何度もあった。
ちなみに現在で平均寿命が最下位の国はアフリカのレソトで54.6歳。
黒山村は西暦525年も西暦1906年も事件寸前まで平均寿命が70歳くらいはあったような雰囲気だ。登場人物全員あまりにも平和ボケしすぎている。