メモ帳用ブログ

色々な雑記。

ナウシカ原作後半の展開はエヴァンゲリオン人類補完計画の元ネタの1つかな。SFだと定番の展開でもあるから、明確な参照元というよりもあくまで影響を受けた作品の1つという程度で。
ナウシカがクライマックスの手前で庭の主の思惑を退けたことがそのまま最後に墓所の思惑を退けることに繋がっている。庭園の役割は旧世界でつくられたもののうち、旧世界の人間が「次の世に伝える価値のあるもの」と判断したもののみを保存すること。一方で墓所には生物兵器などの「伝えるに値しない技」が残されている。旧世界は人間の争いや環境破壊により自滅しかけた。墓所は、旧世界の人間が人類の存続をかけて「次の世に伝える価値のあるもの」のみ残し「伝えるに値しない技」を絶やそうとしてつくりあげたシステムの要だ。自滅しかけた旧世界の穢れを分解するために、ナウシカたちが生きる遺伝子操作された生き物ばかりで構成されたかりそめの世界が製造された。このかりそめの世界を緩慢に滅ぼして「次の世に伝える価値のあるもの」のみを復活させることで、清浄な新世界は完成する。
世界浄化の計画を完遂させるべく旧人類につくられたのが意志を持つヒドラたちだ。庭の主はヒドラであり「旧世界の人間が作った不死の番人」。墓所の主はヒドラであり「千年の昔沢山つくられた神の中のひとつ」。この2人は別個体のようだが同じような価値観がプログラムされている。彼らは生命を大切なものだと考えているが、プログラム通りに清浄な状態で維持することを至上の状態と考えている。墓所の計画が成し遂げられれば、墓所ヒドラを管理者=神として崇め、「次の世に伝える価値のあるもの」しか存在しない世界が永遠に維持されることになったのだろう。ナウシカがつかの間の安らぎを得た庭園が世界そのものになるところだった。これがナウシカのいう「私達のように凶暴でなくおだやかでかしこい人間」の暮らす世界だ。
だがナウシカは生命の本質を清濁の両面と変化にこそあると考える。だから墓所の計画に反抗せざるを得なかった。