メモ帳用ブログ

色々な雑記。

昔の日本の喧嘩両成敗法は、無許可で仇を討った人間も仇とされた人間も全員処罰するという荒っぽい法律だ。自力救済の禁止。勝手にやり返さずきちんとお上に届けた人間は有利なお裁きをもらえる。江戸時代でも、届け出て許可の出た仇討ちなら合法になる。社会が合理化されるごとに管理は厳しくなる。
昔の価値観は今を生きる自分の価値観からするとついていけない部分がある。でも中世的な社会や生産体制の下で育まれた価値観を現代的な価値観でジャッジするのはナンセンスだ。逆に現代日本で中世的な正義を実行するなら犯罪行為になりかねない。住んでいる環境や社会が違う人間は、そこで生きるために身につける技術・思考法・価値観も違ってくる。
道徳や掟のたぐいは個人の権利と集団の利益に折り合いをつけるための技術だ。人間の欲求や本能は概ね共通するし、人間の集団がやることもそう変わるものではない。そういう意味で道徳や掟には普遍性がある。でも折り合いをつける位置や付け方は環境や経緯に大きく左右される。普遍性が皆無だと考えるのも不正確だけど、普遍性を大きく捉えすぎるのも不正確だ。近代は欧米の進出に伴い、キリスト教的価値観も普遍的なものとして輸出された。その結果には功と罪の両方がある。進歩史観も人類は不完全な野蛮から完全な文明へ進歩すると決めつけていて、事実というよりあくまで思想のひとつだ。