進撃の巨人は概ねいい意味で期待どおりのビターエンド。それでいてところどころおっと驚く部分もある。わかりやすさが求められるエンタメ面と、答えの出ない答えを探すテーマ面の両方が味わえた。これができる作品はそうそうないぞ。
エレンは巨人に家族を殺される前から倫理面ではかなりヤバいけど魅力的なキャラだったし、それは最後まで変わらなかった。エレンは身内を守るためなら手段を厭わないし、同時に家畜の安寧を拒絶しもする。昔のエレンは人類は巨人の家畜だと思っていたけど、むしろ自由がなく縛られていたのは巨人という存在だった。リスクだけ考えたらもう少し安全な策もあっただろうけど、エレンの価値観としてはそれは選べない。そんなエレンに対してミサカとアルミンが調査兵団の立場として向き合っただけでなくて、幼なじみとしての感情でも向き合えたのは立派だった。全力と全力がぶつかり合わなければあの最後は迎えられなかったんだろう。同期のみんなもサシャが死んだと聞いたときのエレンの表情の意味を知れて良かった。
情熱大陸で発表されていた「お前は自由だ」のコマの意味を考えると、あれが予定どおりの最終コマだったら皮肉さを全面に出した締めになっていたかも。でもシーンの構成順が少し変わったせいか、皮肉さがいい隠し味となりつつも、全てに対して肯定的なラストに感じられた。


ちょっと歴史小説で美化された西郷隆盛を思い出さなくもない。ああいう美化は本人に逆に失礼な気がしなくもないけど。