メモ帳用ブログ

色々な雑記。

多分3度めのおさらい。

西暦525年の真相を三眼が語ったとき、日本語版ではなぜがみんな頭から信じ込んでいるけど、中国版では普通にほとんどの人間が戸惑って信じきれずにいる。

(日)

村長「そ…そんな まさか…」
村人「俺たちの祖先の話が嘘だった…というのか」
黄二果「うわ… マジかよ それ?」

(中)

村長「怎会… 不该呀…」
村人「我们各家各户都有当时的(引用注:信史?)…」
黄二果「真的假的?」

(直訳)

村長「まさか… あるはずがない…」
村人「俺たちみんなの家には当時の(引用注:確かな歴史?)があるんだ…」
黄二果「マジで?」

村人たちは信じていた歴史とは違う祖先の悪行を信じきれずにいる。先祖が嘘ついたことに驚いたのではない。それに、千年以上に渡る口伝が不正確だったとしても嘘とは言わないだろう。黄二果の「真的假的?」も引いているというより真偽を疑っているニュアンス。当時の何があると言おうとしたのかは不明だが、村長が高皓光との口論の際に这里每户人家都有那段信史留下,因为每户人家都留有白大的人命债!」「ここにはどの家にもその確かな歴史が残されている、どの家にも白大のつくった人命の借りが残されているからだ!」と言っているので、おそらく「信史(確かな歴史)」だろう。

さらに西暦1906年の真実を三眼が語り、借りは必ず返すのが自分のモットーだと言って白小小に復讐を促したとき、
日本語版だと白小小は以下のように独白した。

父さん… なんで嘘ついたの
私たちを守れると思ったんでしょうけど…
その願いは叶わなかったんだよ…

中文版だと以下のように独白した。

爹爹那时为何要说谎?
因为他觉得可以保住我和娘。
可那只是一厢情愿。

(直訳)

なぜ父さんはあの時嘘をついたの?
私と母さんを守れると思ったからよ。
でもそれはただの独り合点だった。


日本語版だと自問に対して一応自答しているけど確信が持てず、自問が続いている印象。

中文版だと自問に対して確信をもって自答している。白小小は子どもではないし、自分が村の子どもたちを守ろうとした時も同じような嘘をついた。父親が嘘をついた理由がわからないはずがない。父親は私たちを守れると思ったのに、村長は母も生贄にして私まで生贄にしようとした、という怒りが滲んでいる。怒りを無理矢理自分に飲み込ませていた大義名分である千年前の「借り」、それが実は間違いだったかもしれないと知り、抑え込んでいた感情が溢れそうになっている。

日本語版だと、三眼の語った525年の真相を誰も疑っておらず、白小小の自問が続いているように見えるので、白小小が知りたかったことは父親が嘘をついた動機であるように読める。

中文版だと、三眼の語った525年の真相を多くの人間が疑い、白小小の自問にはすぐに自答が返されているので、白小小が知りたかったことは三眼の語った525年の真相が本当かどうかだと読める。

この独白の後、白小小は三眼から記憶を授かり真実を知ることに同意する。ここで次回に続く。

次の回の冒頭は、家の中で父親が生贄になるしかないと母親に語り、それを家の外から白小小が眺めている場面だ。

日本語版だと、白小小は父親が嘘をついた動機を知りたがっていたように見えたので、この光景は三眼から与えられた記憶であるように読める。他人の記憶を覗きながらも、覗いている当人もその場面に居合わせているように描かれる、というのはよくある演出だ。しかしそうすると、三眼は父親の記憶を捕食時に受け継いだにも関わらず、その後に母親を食べ、さらに白小小まで食べようとしたことになってしまう。白小小の捕食を高皓光が止めたのは、三眼にとって完全に予測不能な出来事でしかない。

中文版だと、両親を見殺しにさせられた怒りを再確認した白小小は西暦525年の真実を知りたくなった、という描写になっている。だから冒頭の過去は白小小本人の回想であり、西暦525年の真相を知りたい理由である「千年の借り」を押し付けられた過去を改めて思い返している、と読める。

またこの後に続く白小小の独白は日本語版だと

お父さん…
大屍仙さまの神通力のおかげで私に流れ込んできた白大さんの記憶…


となっており、「お父さん…」で一旦文が完全に切れているようにも読める。だから三眼から与えられた父親の記憶に感じ入って「お父さん…」と独白し、新たに与えられた2つ目の記憶である白大の記憶に「大屍仙さまの(中略)の記憶…」と感じたようにも読める。
中文版では

爹爹啊,
这涅槃尸给女儿的神通也承载了他的记忆

(直訳)

お父さん、
この法屍者が娘に与えた神通は彼の記憶も運んできたよ。


と明確に一文であることがわかる。この「お父さん、」は西暦525年の真実を知ったことを父親に呼びかけている部分。またこの「彼の記憶」は父親でも白大でもなく、三眼の記憶だ。