メモ帳用ブログ

色々な雑記。

黒山村の時系列を考える時に難しいのが、隣村で1人が逃げようとして一家全員殺された、という話の真偽や正確なタイミングに不明瞭な部分がある点だ。

逃不掉的,隔壁村就有一个想逃之人,自己没逃成,还把全家都害死了。
上尸的神通,躲不过的。
没有办法,不过我这一去,他们也不会为难你和小小了,只要拖下去,一定会有求法者出现帮助黑山村的。
更何况咱们先祖确实对黑山村有莫大的罪责,没有办法… 就当还债了。

(直訳)

逃げられない、隣村に1人逃げようとした人がいて、自分は逃げられず、その上に家族が皆殺しにされた。
大屍仙の神通からは、身を隠せない。
仕方がない、でも俺が行けば、彼らも君と小小に無理は言わないはずだ。長引きさえすれば、必ず黒山村を助けてくれる求法者が現れるだろう。 
まして俺たちの先祖は確かに黒山村に対して莫大な罪責がある、仕方がない…
借りを返したことにしておく。

  • 皆殺しにされたそうだ、などの伝聞調の言い方でなく、断言している。さっき聞いたばかりというようではない。付近の村々ではこの事件が少し前から話題になっていたのかもしれない。山を出なければ行き来はできたようだし、白小小の父親が実際に隣村に行って確かめた可能性もある。三眼が千里眼で村を監視していたという当時の状況とも合致している。
  • 村人たちが三眼の千里眼を知っていたのは間違いない。山から出ようとした人間が殺されたことで察したのか、村長などが生贄交渉の際に教えられたことを他の村人にも喋ったのか。
  • この隣村は南北朝時代に白小小の妹が嫁いだ隣村とは別の隣村だ。

 

第4話で白小小は大昔に薬売りの大罪人がいたことを語る。その続き。

而他,也就是小女子的祖先。
也是因为我们祖上对村中人有欠,是有罪之家,
所以去年出现了妖尸索要活祭, 拿全村人的性命做要挟…
因为有罪,我们家便承担起了祭品的责任。
这一年来,先是爹爹,
再是娘亲。
直到今天,轮到了小女子我。
全都是因为他。
我恨他。

(直訳)

そして彼は、つまり私の祖先なのです。
また私たちの祖先が村の人に対して借りがあり、有罪の家であるために、
去年生贄*1を要求する屍者が出現し、村人全員の命を人質にとって……
有罪であるため、私たちの家がすぐに供物の責任を背負いました。
この一年で、まずは父が、
次は母が。
今日は私の番でした。
全部彼のせいです。
彼を恨みます。

  • 日本語版だと「だから去年屍者が復活のために村人全員の命を要求した時に 家族が自ら生贄になって責任を果たしました」と、なぜか村人が三眼の復活に協力したと白小小が考えている台詞がある。中文版にはない。
  • 三眼の方から生贄を要求したというのは嘘で、この嘘を広めたのはおそらく村長だ。共に嘘をついた、あるいは嘘に気付いたが訂正しなかった村人がどれだけいたのかは不明。三眼が第6話で語ったところによれば「你看这伤口,直到一两年前才算恢复当初。(この傷口は、1、2年前にようやく元まで回復した)」。第7話では、復活後に村人や馬賊を食っていたら「周围几个村子的人有老一辈看出了有涅槃尸在杀人。他们为了祸害不引到自己家族。(周りのいくつかの村の人間には殺人をしている屍者がいるのに気付いた年寄りがいた。彼らは自分の家族が災いに巻き込まれないようにした。)」と語った。三眼は、村の年寄りたちの一番の目的は自分の家族だけは食われないようにすることだと感じた。さらに第5話で村長が建前込みで語っていたように、戦乱の世を乗り切るための用心棒として三眼を利用するアテもあった。白小小は三眼の方から生贄を要求したという嘘を信じていたので、そうならせめて用心棒として利用するのは仕方がないと思っていたようだ。
  • 三眼が第6話で語ったところによれば、村の年寄りたちは交渉がまとまるとすぐに生贄を連れてきたそうだ。このすぐは数日中にということだろう。隣村の話がもし本当だった場合、隣村では交渉を持ちかけたのが先だったのか、逃げようとした人たちが殺されたのが先だったのかを判断する材料がない。西暦525年の三眼は西暦1906年とは違い白大たちを悠長に追いかけていた。そのため白大は数百km離れた場所で姜明子に出会えた。手口の違いが失敗を反省したことから生まれたのか、村が先に交渉を持ちかけたため厳しく管理しようとしたことで生まれたのかは不明。またタイミングから見て、黒山村の村長は隣村で逃亡者が殺された後で生贄の交渉をした可能性がある。逃亡は不可能だと怖気づいてしまったのかもしれない。

*1:「活祭」は生贄