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ヒトにおける乱婚
原始乱婚(英: primitive promiscuity、あるいは英: original promiscuity)は、社会を我われが理解するようなその到来に先立って、人類が元々性的乱交(英: promiscuity)、もしくは高級娼婦主義(英語版)の状態において生存していたと説くところの、19世紀の仮説だった。

19世紀に隆盛した社会進化論は、文明以前の原始社会において乱婚が行われていたと主張し、こうした意見が一般に浸透したことがある。しかしこれは科学的根拠に乏しい空想的学説であった。今日の科学的知見によると、ヒト社会において乱婚が配偶システムとして成立したことは考えられにくい。一例として、モーガンはハワイ先住民に集団婚が存在したとする説を主張したが(後述書 p.37)、参考とした話は、アメリカ人宣教師達がハワイ人を野蛮人だと言い切ろうとしたための捏造であったことが後に判明しており、モーガンの説が根本から成立していなかったことがわかる。

社会進化論の主張
社会進化論者の主張は次のようなものであった。

結婚制度を含む社会制度は、文明の進歩とともに発展してきた。文明が「原始社会→古代・中世社会→近世・近代社会」と発展するにつれ、結婚制度も「乱婚→一夫多妻婚→一夫一妻婚」と発展したのである。これは私有財産制度の発展と関係しており、所有権の概念が存在しなかった原始時代では性的パートナーも固定されることがなかった。

科学からの反論
上記の主張は、以下のような立場から反論されている。

文化人類学の立場から:オセアニアアメリカ大陸の先住民のような原初的社会においても、一夫一妻ないし一夫多妻婚がほとんどであり、乱婚的な社会は観察されない。
考古学の立場から:発見された遺跡・遺構から推測される古代人の社会が、どれも家族を単位とするものであり、乱婚的な性質とは適合しない。
進化生物学の立場から:ホモ・サピエンスの性的二型が、他の霊長類と比較して大きくはない。