メモ帳用ブログ

色々な雑記。

遺伝学で紛らわしい用語。
優性・劣性の優性(生に立心偏)と優生学の優生(生に偏なし)。


優性・劣性は誤解を招きやすい用語なので、顕性・潜性に置き換えることが決まった。

例えば、大日本図書は、『理科の世界3』の「子の代への形質の伝わり方」の解説で、次のように記載している。


<メンデルの交配実験では、子に両親の一方の形質だけが現れるという結果になった。Aaという組み合わせの遺伝子をもつ子は、遺伝子Aが伝える形質(丸)しか現れず、遺伝子aが伝える形質(しわ)は隠れたままである。この時に子で現れる形質を顕性の形質、現れない形質を潜性の形質という。エンドウの種子の形では、丸は顕性の形質、しわは潜性の形質である。>


同じページには、注釈で<顕性のことを優性、潜性のことを劣性ということもある。優性、劣性は、子の代での形質の現れ方にもとづいたことばで、優れている、劣っているという意味はない。>として、誤解を招かないよう明記している。


人間だと、例えば耳垢が湿っているのが顕性(優性)で、乾いているのが潜性(劣性)だ。湿っている人間が乾いている人間よりも優れているという意味ではない。
エンドウで種子が丸く遺伝子型がAAの個体と、種子がしわで遺伝子型がaaの個体をかけ合わせると、子の遺伝子型はすべてAaで表現型は丸になる。この子同士を掛け合わせると生まれる孫の遺伝子型の比率はAA:Aa:aA:aa=1:1:1:1→AA:Aa:aa=1:2:1となる。表現型の比率は丸:しわ=AA+Aa:aa=3:1となる。


優生

ゆう‐せい イウ‥【優生】
〘名〙 良質の遺伝形質を保って、子孫の素質をすぐれたものにすること。

例えば、勉強ができるようになりやすいが鬱になりやすい遺伝子と、勉強は劣りやすいが鬱になりにくい遺伝子だと、現代社会でも後者のほうが子孫を増やすのに有利かもしれない。優生学は権力の介入によって人為的に前者の子孫を増やして後者の子孫を減らすようなことを目的とした学問だ。