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天空の城ラピュタは宮崎駿監督映画の中だとわかりやすく勧善懲悪やってるほうの映画だ。なにせ近代人・現代人ポジションのムスカがちゃんと悪役をやってくれている。悪役らしく最後は自業自得で死んでくれる。
これがもののけ姫とかになると善悪は混沌としているという話になるし、当初は死ぬ予定だった近代人・現代人ポジションのエボシ御前も生き残るように変更される。風立ちぬにいたっては近代人・現代人ポジションの堀越二郎が主人公だ。風立ちぬの制作中も突然菜穂子は死なないと言い出して、それでは話にならないとスタッフになだめられる一幕があったそうだ。
宮崎監督が現代人を断罪したいという衝動を持っていることは度々本人が述べている。一方で安易に近代人・現代人を断罪すべきでないということも語っている。この葛藤が宮崎駿作品の醍醐味だろう。宮崎監督は初監督作品の未来少年コナンで当初の予定を変更して悪役の何人かを救った。また、近代人・現代人ポジションでラスボスとなるレプカについては、思い入れしすぎて殺せなくならないよう懸命にこらえていたという。