メモ帳用ブログ

色々な雑記。

動物農場』で豚のナポレオンはスターリンを、豚のスノーボールはトロツキーをモチーフにしていると通常解釈される。ナポレオンは言うまでもなく腐敗しきった政治家だ。だがナポレオンと対立し、他種の動物にも比較的思いやりがあり人間と勇敢に戦ったスノーボールも豚が特権を得ること自体には加担していた。作者のオーウェルが別のエッセイでトロツキー主義も批判すべきナショナリズムの一種と述べていることからわかるように、単純にナポレオンが悪でスノーボールが善ということではない。だがスノーボールが農場にいた頃は豚の独裁による他種の動物の搾取がずっと軽く済んでいたことは確かだ。より正確に言うならナポレオンとスノーボールが議論を戦わせていた頃は、だろう。もし独裁をしたのがスノーボールだったとしても、別の形の(例えば腐敗でなく理想主義による)迫害が引き起こされた可能性はある。
民主的な体制に不可欠なのは事実の歪曲や、暴力、敵対勢力の排除ではなく、健全な議論だということだ。