メモ帳用ブログ

色々な雑記。

ヤバすぎて逆にヤバさが和らいでるけど、第七師団による網走監獄の看守及び囚人約700名皆殺し事件はヤバすぎである。この時点の第七師団は完全に敵だから、悪対悪の戦闘で描写に容赦がないのが良い。
ストーリーの盛り上がりとしてはここが最高潮だな。最大限にケレン味を盛りつつ、夜かつギャラリーを完全排除してるからギリギリリアリティを感じられるライン。ギャラリーのうようよいる日中の函館が舞台だとどうしてもトンデモ感というか馬鹿馬鹿しさが出てきちゃう。
やっぱり一連のクーデター計画って肩書だけで見ると海軍の鯉登少将が主導して、陸軍の鶴見中尉にも協力させた、鯉登少将は見張りとして自分の息子である鯉登少尉を鶴見中尉の下に送り込んでいた、と判断されるよな。鯉登少将は網走監獄襲撃でもバリバリに活躍しているし、鯉登少尉を樺太に送り込んでるし、普通に鶴見のクーデターの協力者。というか鯉登少将は自分がクーデターの旗頭だと思っていたかも。アシㇼパを矢面に立たせようとしたウイルクに共感したのは、自分が今まさに同じことをしているからって意味もあるのかも。
鯉登親子ともども、鶴見の語る正義を完全に信じたということでいいのかな。この点の描写が薄くてよくわからん。鯉登少将は花沢中将の親しい友人だったから自刃に追い込んだ中央に反感を持っていたはずって意見はよく見かける。花沢中将を自刃に見せかけて殺したのは実は尾形と鶴見だけどね。ただ、息子を助けてくれた恩にしろ、友人の敵討ちにしろ、軍のお偉いさんがクーデターに協力するのに私情で目が曇っていたってのはなんの言い訳にもならない。ボンボンの鯉登少尉もさすがにそこはわきまえているから何度も自分と父親は利用されても構わない、どうなってもいいって繰り返しているわけで。鯉登少尉も失敗したら親子ともども処刑されかねないことは最初から織り込み済みのはず。偉い人間は自分の決断の責任は自分で背負わなきゃ。
函館で鯉登少将が戦死したことは野田先生の温情だと思う。でないと事後処理の過程で、部下たちを守るために鯉登少尉が父親の首を文字通りに切らされる事態になっていたかもしれない。