メモ帳用ブログ

色々な雑記。

鯉登音之進は少年期ずっと自分のことを父親からすら必要とされない落ちこぼれだと思って生きてきた。そのせいで自分が好意を持った相手から必要とされたいという欲求が強い人間なんだと思う。だから『甘い嘘』では混乱した末にとっさにあの言葉が出てきた。

鶴見中尉殿スゴ〜〜イ!!
それじゃあ鹿児島で偶然出会ったのも仕込みってことではないか?
あんな誘拐劇までして…
そんなに必要とされていたなんて嬉しいッ

鯉登音之進は愛した人の大義のために自分が必要とされるなら、最初から最後まで嘘をつかれていようとも、死地に追いやられようとも構わないと考えていた。
だが鯉登に鶴見の嘘を暴露した月島は、鶴見から必要とされているにも拘らず救われていないという。それが混乱に拍車をかけた。このあと鯉登は自分が部下として指揮官から必要とされること、そして自分が指揮官として部下を必要とすることについて改めて考えたはずだ。そしてフチの村で月島と向き合った時、現時点での自分の考えを率直に明らかにした。
鯉登は土方戦でただ命を捨てるだけではだめだと気付いたとはいえ、まっすぐ突っ走りがちな危なっかしさはある。だから口ではやかましく言いつつ絶対に鯉登を死なせたくない月島とはいいコンビだ。