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ゴールデンカムイ』で言う「罪悪感」ってのは、自分に理由があって相手を殺すんだから相手を殺したのは悪いことでその罪や責任を自分が背負わなくてはいけないと感じる気持ちのことだ。
ゴールデンカムイ』は自分なりの正義と道理を持つ者が自分なりの正義と道理を持つ者と殺し合う漫画だ。自分に正義や道理があろうと、いやあるからこそ相手を殺すのは自分の罪だ。自分に正義と道理があって相手が悪だから相手を殺していいという漫画ではない。相手が悪いんだから自分は悪くないという態度はこの漫画が重視する罪悪感と正反対のものだ。
そうした罪悪感のない人間を象徴する会話を第242話で宇佐美と尾形がしている。

尾形:宇佐美 お前 ロシア兵を殺して悪かったって思わないよな?
宇佐美:思わない
尾形:殺されるのはそれなりの非があるからだ
宇佐美:うんうん わかる
尾形:誰だって罪を犯しうるんだ そいつらを殺したって罪悪感なんてわかないだろ?
宇佐美:ないね

宇佐美は確かに罪悪感も、そこから生じる後悔も自責の念も自己嫌悪も持たない人間だった。鶴見のいう生まれながらの犬だった。
だが尾形は対象は極めて狭いものの罪悪感を持つ人間だった。弟を殺した罪悪感から目を背け続けた尾形は、自らの罪悪感を認めた時に耐えきれず自殺してしまう。
この漫画の罪悪感に対する模範解答はやはり主人公である杉元佐一の態度だろう。杉元は自分に罪悪感があることを認めて向き合い続けた。