メモ帳用ブログ

色々な雑記。

鶴見に死刑回避の裏工作を暴露されるまでの月島は、自分が有能でロシアの勉強も頑張ったから死刑を回避できたと思っていた。自分で自分の命を救えたのなら自分に誇りを持てた。でも実際はそうではなく鶴見の掌の上に過ぎなかった。しかも本当に事故で発覚してしまったのならともかく、事故でバレたフリをして月島の反応を見る策略だったと気付いてしまったのだから心底救われない。
鶴見はフィーナと死別した経緯から、何年も嘘をついた相手に真実を明かしたらどうなるのかということが気になっていたはず。月島の場合はいご草ちゃんは生きているというのが真実だったけど、佐渡ヶ島の人間に信じさせたのと同じ嘘を信じさせれば、9年間ついていた嘘がバレたのと同じ状態の反応が確かめられる。鶴見はおそらくその状態でお前が死刑を免れたのはロシア語能力のおかげでなく自分の裏工作のおかげだと暴露し、さらに月島を動揺させてその反応を確かめ、月島の自分への愛を試そうとしたのだろう。だが幸か不幸か偶然敵からの攻撃を受け、月島が鶴見を庇ったことでこれ以上なく月島の鶴見への愛は証明された。この時点までなら月島の鶴見への愛は本物だったと言っていい。しかし裏工作の暴露によって自尊心が打ち砕かれ、さらに自分の愛が嘘で試されたと気付いたことで戦友としての愛は完全に崩壊する。
同じく鯉登も、鶴見と月島が自分を嘘で囲っていたことに気付いた時点までならまだ2人に対する愛は維持できていた。流石に鶴見に対する盲信は早いうちに冷めてしまったが、むしろ盲信など真実の愛から最も遠い感情だと言えなくもない。鶴見が鶴見でなければ、鯉登の側だけから見れば、ここから改めて本当に理解し合った上官と部下の愛情という一段上のステージに進む可能性もなくはなかった。月島は鯉登にすべてをさらけ出したことで、却って本当の上官と部下の愛情を育むに至った。だが鶴見が鯉登の愛まで嘘で試そうとしたことで、鯉登は鶴見への愛に見切りをつけざるを得なくなる。