メモ帳用ブログ

色々な雑記。

列車の中で、鯉登は皆のために、もっと沢山の誰かのために、勝って生きようとした。月島は鶴見のために価値のない自分の命を捨てようとした。
鯉登は土方と対峙した際、迷いを捨てきれていないことを指摘された。「死人になれていない」と。自分の命を惜しんで迷いながら戦うようではかえって敵に殺されるだけだ。鯉登はかつて父親からもそのような指導を受けたことを思い出した。薩摩の剣士は初太刀に己の全生命をかけたから強かった。しかし土方は自分のような未熟者が命をかけようが、「迷い」を捨てようが、勝てる相手ではない。それでも自分は部下たちみんなのために、これから背負うもっと沢山の誰かのために、勝たなければならない。そうやって生きるための覚悟を固めたことで迷いは晴れた。土方からも戦うに値する相手だと認められた。
月島は鶴見を守るために牛山とともに自爆することを考え、「俺の命は このために使ってもいい」と決意した。鶴見が「そして私の戦友だから」と言ってくれた時を思い出した。もうその言葉は信じられず、自分の人生には利用されて憤るような価値も感じられない。それでも鶴見の正義は本物だと信じられるし、受けた恩義も残っている。とうとう自爆しようとした刹那、鯉登が月島を止めるためにやって来た。鯉登の命は月島からしても価値を感じざるを得ないものだった。そして鯉登は自分の人生に新たな価値を感じさせてくれる相手だった。