メモ帳用ブログ

色々な雑記。

最後の函館での戦いの司令官としては、主にソフィアと鶴見が対比されている。土方は土方勢力のリーダーではあるけど直属の手下が少数精鋭すぎる。史実でも現場指揮をすることもあるNo.2キャラであってNo.1になるキャラではない。

①ソフィアは第283話で部下たちに演説した。ソフィアはこれまで部下に嘘をついたことはなく、この演説でもまず蝦夷共和国を樹立し極東連邦への発展を目指すという今後の方針を偽りなく静かな言葉で語った。そして「私がそう決めた ついて来るか決めてくれ」と部下たちに選択を促した。

五稜郭攻囲戦で圧倒的に不利な状況に陥っても逃げず、杉元から「負けて逃げるんじゃない 権利書を守るために引くんだ 立て直そう!!」と言われたが、白石から「親分がまっさきに逃げられないってことだろ」と察された通りの行動をした。

③そして敵を食い止めてアシㇼパを守り、未来は自分で選ぶように励ましの言葉を送った。

④しかしパルチザン勢力は壊滅し、ソフィアは鶴見に撃ち殺された。ソフィアの目指した蝦夷共和国も極東連邦も実現しなかった。

 

①鶴見は第289話で部下たちに演説した。鶴見の演説は意気軒昂たる立派なものだった。しかし鶴見は部下たちに第七師団冷遇の原因となった花沢自刃は自分の偽装殺人だという事実を伏せている。部下たちに対して「皆が豊かになる道」と「死んでいった戦友たちへの弔い」を強調するが、日本繁栄という真の目的があり、そのためなら部下たちに対する約束は反故にできることを隠している。鶴見はこれまで自分に逆らった部下は粛清してきた。

五稜郭攻囲戦では勝利したが、もはやごまかせない程の損失を受けた。さらに暴走列車では部下の大半を失う。日本繁栄を成し遂げるために権利書を持って満州へ一旦高飛びすることを決意し、おそらく最終回後は単身でその通りにした。

③鶴見は鯉登からもう戦えない月島を解放するように懇願されていた。列車事故を目論んだ尾形が杉元とアシㇼパに倒されたこともあり、鶴見は部下たちを自分の(偽装事故死の?)道連れにしないことを決める。

④杉元やアシㇼパと戦い敗北するが、死んだと見せかけて生き延びることに成功する。第二次世界大戦後、満州に日本の軍事組織(警察予備隊)を介入させることまではできず、日本の実質的な領土拡大は成し遂げられなかったものの、ロシアの北海道占領を阻止する一助となって国防に貢献した。それには多民族国家を目指したウイルクの遺したまだら模様の金貨が活用された。まだら模様は均一に混ざらないままひとつになることの象徴であり、かつての鶴見はそれを揶揄したが、現在は国際社会も日本もそれを尊重している。

 

こうやって見ると、道半ばで亡くなったソフィアは志こそアシㇼパに継いでもらったとはいえ、完全に敗北し、鶴見は生き延びて挫折を繰り返しつつ一花咲かせたし、目的は鯉登に継いでもらっている。人柄の良いソフィアが割を食っていて不憫だけど、ゴールデンカムイは弱肉強食漫画だからそんなもんだ。

それに、鶴見は部下を率いるにあたり、無能な中央に代わって自分が第七師団を救済するという点を旗印にしており、「無能な中央」という部分はまんざら間違いでもない。中央が花沢に旅順攻略を急かしたために将兵に多大な犠牲が出たことは確かだ。かつての鶴見はそれに憤っていた。また、花沢を自刃に見せかけて殺させたのは鶴見だが、その責任を部下たちである第七師団に押し付けて冷遇する判断を下したのは中央だ。中央が責任転嫁体質の冷たい首脳部だという点も嘘ではない。

問題は軍人としての鶴見が中央以上に無能だったことだ。

反面スパイは天職だったということだろうか。