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色々な雑記。

大事なことなので二回引用しました。


ハリマンの提案が好意的に受け止められた理由は、ハリマンの売り込みの手腕もさることながら、「満州鉄道の運営によって得られる収益はそれほど大きくなく、むしろ日本経済に悪影響を与える」という意見が大蔵省官僚・日銀幹部の一部に根強かったためであり、「ロシアが復讐戦を挑んできた場合、日本が単独で応戦するには荷が重すぎる」という井上馨の危惧もその一因であった[17][33]。なお、陸軍では山縣有朋田中義一満洲経営消極論者が多数を占め、積極論者は児玉源太郎ら少数にすぎなかったのでハリマン提案には反対しなかった[34][注釈 10]。

ゴールデンカムイの歴史は史実そのものじゃない。ただ、史実では陸軍は「満洲経営消極論者が多数を占め」ていた。別に当時の陸軍は植民地政策に消極的な人道的な軍隊だったとかな訳では全然なく、単純に経営がうまく行かないと思われていただけだ。実際に戦う軍人からしたら不確かな利益のために命をかけたくないという思いもあったようだ。結果からすれば日本単独で行った満鉄経営は成功するが、そんなことはこの時点ではわからない。ちなみに後の昭和に行われた満洲政策はそれなりの成果を収めたが、明治の満洲政策は満鉄を除いてことごとく失敗している。
ゴールデンカムイの世界でも花沢幸次郎中将が満鉄の「経営はうまく行かない」と判断したのは特段おかしなことではなかったはずだ。むしろ当時の政府や大本営の多数派の方針と一致していただろう。
ただ、史実で花沢とほぼ同じ活躍をした乃木はどうやら満鉄に対してことさら意見を表明したりはしていなかったようで、それに対して花沢は満鉄経営に「激しく抵抗するものがいた」と明言されている。史実の乃木も、ゴールデンカムイの花沢も、将兵の犠牲を多数出したとはいえ日露戦争を勝利に導いた立役者であり、英雄だ。彼らがいなければそもそも満鉄の利権を云々する出発点に立つことすらできない。そんな花沢が満鉄に強硬に反対したとなれば、ゴールデンカムイの世界では外務大臣の小村に当たる人物や満州軍総参謀長の児玉に当たる人物ら少数派が多数派を押しきれずに満鉄計画は頓挫していた、もしくはアメリカと利権を分け合うことになった可能性がある。鶴見はそうした状況を避けるために花沢を尾形に殺害させたのだろう。