メモ帳用ブログ

色々な雑記。

鶴見は「愛です」の4人全員と疑似父子関係的な部分を持っている。
一番わかりやすいのが鶴見と尾形だ。ここは宇佐美の尾形に対する口撃をそのまま信用していいだろう。
月島も10歳も離れていないはずの鶴見に対し、自分を愛さず自分が殺した父親の代替、自分を愛し導いてくれる年上の父性としての役割を求めていた部分がある。また、父親にしたのと同じように鶴見を殴ってしまったことで月島は自分に対する絶望を深めた。
宇佐美は鶴見のことを明らかに伴侶として意識している。だが、鶴見は12歳以前から知っており年も15歳前後離れていた宇佐美をむしろ自分の子どもに近い存在と感じていた様子だ。特に宇佐美の死に際、抱きとめる鶴見とともに2人が聖母子像のポーズを取る場面が印象的である。
鯉登も父親との不和を鶴見に付け込まれかけた。結果的に不和を解消してしまったが、恩人としての地位は手に入れた。宇佐美の例から学習したのか、色気のある男として篭絡しようとした点も功を奏している。鯉登は20歳程度年上の鶴見に初恋に近い憧れを抱くまでになった。ただ鯉登の思いは宇佐美のそれとは少々異なっている。宇佐美が鶴見という男そのものに執着したのに対し、鯉登が憧れたのは、悪い子供を叱れる、立派で、強く賢い、将校であり、父性的な大人の男である鶴見だ。鶴見という個人そのものよりも、立場ある大人としての鶴見に未成熟な子供として惹かれた。恋に恋するようなうぶさも含め、女学生が教師に憧れてしまう感情に近いものがあった。