メモ帳用ブログ

色々な雑記。

他の人間からは評価されていようとも、自分たちを捨てた花沢幸次郎を尾形親子が恨んだ、ということは十分あり得た話だ。そうだったら話はわかりやすかった。だが尾形はそんなわかりやすい性格はしていない。
尾形が父親を殺害した動機は恨みのような単純で暴力的なものではない。勇作を殺したのも恨みや当てつけではない。
尾形の中には自分がおかしくないことを確かめたいという気持ちと、欠けた人間である自分がご立派な立場に就くことでご立派とされているものの無価値さを証明したいという気持ち、この矛盾する2つの感情が渦巻いている。
まず勇作殺害の一番の動機は、自分がおかしくないことを確かめるために父が自分を愛していると知りたいと思い、勇作がいなくなれば父親の愛を確かめられると考えた、というものだ。
父親を殺害した動機は、第一に欠けた人間である自分が第七師団長になることで第七師団長の無価値さを証明したいというものだった。だが宇佐美に語った「色々話したかったから」というのも本心の一部ではあるはずだ。尾形は父親を恨んでいたのではなく、父親に愛されたかった。