メモ帳用ブログ

色々な雑記。

自分は現代的価値観からしても、勘違いで父親を殺害した月島が鶴見の裏工作によってすぐに監獄から出られたことは道義から外れていたと思う。それでも鶴見は月島に「信頼できる優秀な通訳で部下だから連れていく」と語り、月島がその言葉に応えてロシア語を身につけた以上はその嘘を貫き通すべきだった。新たな嘘をついたり、嘘をわざとバラしたり、そうすることによって月島の愛を試したりべきではなかった。「月島 おまえ… ロシア語だけで死刑が免れたとでも思ってるのか?」という言葉はむごい。何より、愛を確認したことでなおさらに利用しようとするべきではなかった。
ついでに、鶴見はさすがにそこまで非道ではないけど、死刑から救ってやったことを理由に自分のために相手の命を使い潰すことを正当化したとしたら言語道断の卑怯者だ。鶴見はある意味平等に(?)部下たち全員の命を必要なだけ使い切ろうとしていた。
月島と月島の父親を比較すると父親のほうが哀れではあると思う。月島は父親を殺害してすぐに監獄から出られたし、奉天までは鶴見を心から信頼してついて行けたし、数年間鶴見を信じられずに苦しんだけど、鯉登音之進という本当に心から信頼できる若き上官の右腕になれた。月島の父親はクズのような人間がクズのような人間のままクズのような人生を送り、最終的に息子に勘違いで殺された。死後も冤罪を着せられた。嫌われ者で殺されても誰も悲しむ人間がいないというのもなおさらに哀れと言えなくもない。
でも自分が月島を好きなところはたくさんあるけど、自分が月島の父親を好きになれるところは全くない。強いて言えば月島基をこの世に誕生させてくれたというくらい。だから社会的道義にはいくら反していても、月島がほぼ刑を受けることなく表に出られてこれからも受けることがないのは万々歳だね。
鯉登だって月島の過去を知ろうが知るまいが、月島に対する感情はちっとも変わらないだろう。距離を取ったりはしないし、同情したりもしない。もし月島の罪を見逃したことがこの世界から許されなかろうが、地獄での量刑に加えられようが、毛ほどもためらわない。鯉登は自分や月島も含めて、政府の判断次第では死刑になりかねない鶴見の部下たちを守る決意を既に固めている。今更右腕に死刑相当の罪の1つや2つ発覚したところでなんだと言うんだ。鯉登自身が罪人で、月島も罪人で、部下たちも罪人で、それでも生きていく。