メモ帳用ブログ

色々な雑記。

鶴見は奉天で月島に鶴見劇場を行った。「彼のためなら命を投げ出し汚れ仕事も進んでやる兵隊を作るために」そうしたのだと月島は鯉登に語った。その推察は正しい。
鶴見がそうした指揮官だと知りつつ、鯉登は五稜郭で「だがもしもの時は部下たちを中央から守るために… 私はあなたを…」と詰め寄った。もうこの時点で自分が鶴見の望む部下ではなくなることをわかっていても言わざるを得なかった。
鶴見はかつて五稜郭で鯉登親子を相手に鶴見劇場を行った。鯉登は月島からその真相を暴露された。鶴見はそれを察し、察していることを鯉登に察させた。鶴見はそれでも今まで自分について来た鯉登が、これからもそうできるかどうかを確かめようとした。鯉登が「彼のためなら命を投げ出し汚れ仕事も進んでやる兵隊」になり、自分のちからになって助けてくれるのかを、陰険なやり口で確認しようとした。鯉登は鶴見がそうした演出を行う男であることを知り、目の当たりにしてきた。だがいざ自分が再びその標的にされて、やはりそうしたやり方を許容してはいけないと感じたのだ。そして月島にも、できれば自分から、鶴見に従属する状態から抜け出してほしいと願った。
鯉登は鶴見に必要とされる部下であることを自らやめた。だから鶴見は鯉登に対して表面的な嘘しか言ってくれなくなった。いや、言えなくなったのかもしれない。それでも鯉登は、甘い嘘から始まった自分と鶴見の関係が結局偽物のまま終わってしまったことを心から悲しんだ。ただし嘘から始まる本物の関係も存在することを諦めてはいなかった。