メモ帳用ブログ

色々な雑記。

いくらダイジンが鈴芽との間の邪魔者になる草太に敵意を向け、呪ったとは言っても、


完全に要石になった草太が東京上空でミミズを消した後、その辺に落下していたのを拾い上げ、常世に運び込んで地面深くに突き立てる、ということまではしていないはずだ。作中の描写や新海監督の発言からすると要石を刺してミミズを封じるのは人間の役目であるようだし。だから物理的なあれこれは置いておいて、常世の地に草太が突き立てられたのは鈴芽が東京上空でミミズに草太を突き立てたから、ということでいいはずだ。
要石は刺してから時間が経つほどミミズを抑える効果が弱まり、物質として地面から抜けてしまいやすくなるようだ。ダイジンが逃げた直後にミミズが出始めて小さな地震が起きた際、鈴芽の同級生たちは「最近ちょっと多いね、地震」と言っていた。鈴芽が抜く以前から要石の効力が弱まり、出ようとするミミズを抑えられなくなりつつあったのだろう。また距離が遠いほど効き目が弱くなるようでもある。九州のダイジンが抜けた後、百年前に東京に刺されたサダイジンだけでは九州、愛媛、神戸とミミズを抑えられなくなっていった。そして神戸で草太が「東の柱だけでは長くは持たない」と言った通り(小説でカットされた部分なのでセリフは不正確かも)、ついにはサダイジンも抜けて東京のミミズまでが後ろ戸から出てしまう。一方、鈴芽により新たに東京に刺された草太は単独で福島のミミズを抑え込めた。岩手までは抑えきれず、鈴芽の通った後ろ戸からミミズが現世に出ようとしたためサダイジンに食い止められた。
草太は九州でミミズが出現した際に九州の要石が抜けてしまったことを察していた。東京から九州に遠征した目的に九州の要石の捜索が含まれていたのはほぼ間違いない。あの地域だろうという見当はついていたかもしれない。ただピンポイントであの温泉地に要石があるとはじめから確信を持っていたわけではないようだ。後ろ戸を探すために廃墟の場所を鈴芽に訪ねるほどに草太はあの地域の情報を持っていなかった。閉じ師としての通常業務である戸締まりのついでに捜索もしよう程度だったのかもしれない。そして廃ホテルでの戸締まりの後、草太はミミズの見えた鈴芽を閉じ師関係者と思ったらしく、九州の要石はどこに行ったのか問い詰めたが、鈴芽がなんの知識もないとわかるととりあえず温泉地から立ち去ろうとした。何が起きたのかを草太もいまいち把握できなかったらしい。抜けた要石があったのがあの廃ホテルだと理解できたようでもない。
また、草太は呪われて椅子になった後もすぐにはダイジンが要石だとは気付かなかった。正体不明の化け猫に呪われたと認識して怒り、追いかけた。ダイジンが要石だと察したのはフェリーで鈴芽に廃墟の石像のことを聞いてからだ。それでようやくあの町にいた化け猫と九州の要石をイコールで結ぶことができた。あの温泉地に要石があると知らなかったから気付くのに時間がかかったのだろう。