メモ帳用ブログ

色々な雑記。

要石の保守管理も


閉じ師の通常業務だったんだろう。草太の祖父はおそらく東京の要石(サダイジン)に対しては定期的な儀式を行っていた。サダイジンが会いに行き、草太の祖父が「お久しゅうございます。とうとう抜けてしまいましたなあ。あの子について行かれますか。よろしくお頼み申す」(うろ覚え)と面識がある風に話しかけたのはそのためだ。この時ダイジンは痩せこけた仔猫になっているので、普通の成猫の見た目だったこの黒猫はダイジンではない。サダイジンは抜けた当初から痩せていたようでもなく、この時に草太の祖父の言葉を受け取ったこともあり、非常に巨大な猫になった。草太はまだ祭祀を行う資格がないと判断されており、東京の要石の場所を教えてもらえなかったのだろう。皇居の地下に後ろ戸や要石があるというのはデリケートな問題だ。草太の祖父の師匠の日記すら黒塗りにされていたほどだ。
西の要石(ダイジン)は作中の描写を見る限りだと、何らかの理由(実体化の位置がずれてしまった?)で詳細な行方が不明になり、長期間祭祀が行われずにいたようだ。そのせいで封印が解かれた直後は痩せこけていた。しかし鈴芽からうちの子になる?と聞かれ、うんと言い、ふっくらした仔猫になった。この時ダイジンと鈴芽との間に親子のような神と巫女のような関係が結ばれてしまった。先に草太がダイジンの正体に気付いて声をかけていれば問題はなかったのだろうが、草太は気付かなかった。ダイジンはもう閉じ師に協力するのはまっぴらなので、自分を要石に戻そうとするだろう邪魔者の草太を椅子にして要石の役割も移す。祀るのをやめると一族の誰かに呪いが降りかかるというのはいかにも日本の神らしい。ダイジンは東京で鈴芽が草太をミミズに刺すように導こうと考えたが、人間を滅ぼしたいとまでは思っていなかったので道中の後ろ戸のある場所は教えた。サダイジンはきっと神らしく行動するだろうと考えて放っておいた。というか、鈴芽に大嫌いという言葉をぶつけられ、再び痩せこけ、放心してまた鈴芽について行くことしかできなかった。サダイジンは元々自分の役目を果たすつもりだったし、自分を祀っていた草太の祖父から頼まれもしたので鈴芽たちを追いかけてミミズの封印に協力した。環にきつい言葉を言わせたのは鈴芽のダイジンへの無礼に対するバチのためと結果的に丸く収まるとわかっていたための両方だろう。鈴芽を悲しませたことでダイジンはサダイジンに食ってかかったが、すぐに負けて仔猫扱いされてしまう。もしかしたら道中ではちゃんと神らしくミミズ封印に協力するようにサダイジンからお説教されていたのかも。
あとウダイジン(ダイジンの正式名称)とサダイジンって、草太と鈴芽をメタ的にお内裏様とお雛様に見立ててるからこの名称なんだろうな。本当は男雛をお内裏様、女雛をお雛様と呼ぶのは誤用なんだけど、日本人なら誰でも通じる誤用だから。新海監督が閉じ師にどういうイメージを持っているのかはティーチインを参照。雛人形では向かって右の黒衣で日に焼けた顔の老人が左大臣、向かって左の緋衣で白い顔の若者が右大臣と俗に呼ばれる。正式には一対で随身という名称。随身は貴族の警護をする近衛府の官人。実際の宮中では公卿の筆頭である左大臣やそれに次ぐ右大臣が随身の働きをしたり、その装束を着たりすることはない。
阿形と吽形の一対で寺院の門を守る金剛力士像に相当する存在を神道でも取り入れる→一対の随身の像に神社の門を守らせる随身門が誕生→神社の随身の像が俗に矢大神と呼ばれるようになり、さらに向かって左のみが矢大神で右が左大神と呼ばれるようになる→これが雛人形に逆輸入されて右大臣・左大臣と呼ばれるようになる、ということらしい。