メモ帳用ブログ

色々な雑記。

エヴァは少年を主人公にして一応少年をターゲットにし、リアルタイムを語ろうとするアニメだったけど、セカイ系は少年を主人公にしてノスタルジーを掻き立てる作品群だと感じているんだけど、どうだろう。セカイ系の火付け役になった最終兵器彼女からして掲載誌は青年誌だ。そして童心に帰り主人公とともに少年の目線で世界を捉えるというよりも、少年ではなくなった目線のままあの時無垢で無力だったぼくを懐かしむような色彩が強い。もう全てが取り返しがつかなくなったことを知った人間が、まだそれを知らない頃のぼくを見ている。かつて負った傷の痛みを、またほじくり返して浸るために。一応少年向けのレーベルから出ている作品でも、主題となっているのは前進ではなく少年期の終焉であり、終焉から目を背けることの終焉だ。
痛みはもはや遠くなってしまったものだからこそ甘い。また、受け手がいい大人になっているか、なるからこそ、楽しめていることが期待されている作品群でもある。この遠さは少年のぼくと大人のぼくの距離だ。取り戻せない過去に対する埋まらない距離が埋まったような一瞬の錯覚をするために、大人になったぼくたちはこうした作品を求める。また、この距離は少年のぼくと彼女の距離でもあった。彼方に立つ彼女との距離が消える一瞬の錯覚をぼくたちは追い求める。その瞬間、ぼくの恋心は永遠へと到達し、セカイへ届く。届かなかったから夢が見られる。
ただこの手の後ろ髪を引かれる切なさを描いた作品は、その場に永遠に留まりたがる受け手を生んでしまいがちだったり、生んでしまう点が批判されがちだったりもする。思春期を主題にした作品はエモーションと共感(他者への理解であるシンパシーではなく同類への同調であるエンパシーのほう)に全振りになるから好みが分かれやすいというのもあって、賛否が分かれる。