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すずめの戸締まりは


鈴芽が草太の中の自分の大きさを確認しただけでなく、草太の中には友人も祖父もいることを確認したのが本当の他者への理解って感じで良いと思う。
その引き換えに恋心を自覚するや否やあっという間に家族の距離感に到達してしまって、ラブコメ的な甘酸っぱいやきもきが生じる余地はなくなったんだけど。オタクといういつまでも思春期引きずっている人種からするとそういうのが見たいのにという気持ちはなくもない。まあ草太の声優が言うように告白し合わずともいい夫婦になれそう。草太は配偶者の女の部分に対してあまり供給をできるタイプの男ではないけど、鈴芽は女女した部分が薄そうだし。子供のいいお母さんとお父さんになれそうな2人だ。
というかすずめの戸締まりでセカイ系っぽい部分を挙げるとしたら、それは鈴芽と草太の関係でなく、鈴芽と母親の関係になる。幼い鈴芽は母親と世界を奪われ、ずっと探し求めていた。草太に母親の影を見て追い求めるが、いつしか草太は母親ではなく草太でしかないことを受け入れるようになる。母親の死と母親のいない世界を受け入れる。それによって草太を救い、自分を救う。狭義のセカイ系も現実的な男女の恋愛というよりは自分の全てを受け入れてくれる太母神的な存在に対する幻想の話だ。セカイ系の源流であるエヴァ綾波がまさにそんな存在だし。