メモ帳用ブログ

色々な雑記。

芹澤の赤いオープンカーって天気の子の夏美のピンクのカブみたいなものだと思っていたけど、芹澤本を読む限りだと近いのは


帆高の拳銃のほうだな。
夏美のピンクのカブは無軌道な若さの象徴。大学卒業間近でモラトリアムも卒業間近だけど、まだ残存している。だけど帆高を陽菜の元へ連れて行く途中でとうとう動かなくなる。小説版では帆高を見送った後、私はいい大人になって待ってるよと独白する。
帆高の拳銃は男の意地の象徴。早く一人前の男になりたい。でも帆高は補導されるべき家出少年で、拳銃は拾ったものを違法に発砲した上に事実上所有したままになっているシロモノだった。この拳銃を再度使い陽菜を救うが、背伸びしすぎた虚勢である拳銃は当然押収され、家に帰される。しかし高校を卒業して東京の大学(東京農工大学の入学案内が映るカットがある)に進学し、正当に東京に戻ってくる。
芹澤の赤いオープンカーも男の意地の象徴。芹澤は大学生な上に自分で生計も立てていたが、生活に追われ、コロナで閉塞していく中でよろしくないバイトに手を出してしまう。赤いオープンカーもそうした生活の中で手に入れた。ただ、一応は合法に手に入れたのだし、よろしくないバイトからも足を洗って真っ当に維持費などを捻出していた。それでもオープンカーはベコベコにされてしまう。芹澤は夏美と違って鈴芽を草太の元に送り届けたいというよりは、鈴芽に案内してもらって自分が草太を助けたいと考えていた。しかし芹澤には直接的に草太を救出する力はない。だから芹澤は道半ばで、言わば天からお役御免を突きつけられるようなかたちで足止めを食らう。だが芹澤のおかげで鈴芽が目的地間際に辿り着けたことは間違いない。芹澤も吹っ切れて笑い、草太の元へ走っていこうとする一途な鈴芽を見て「いいなあ、草太のやつ!」と受け入れることができた。芹澤もJAFに車を応急修理してもらった後、鈴芽の実家までやってきて、鈴芽に助けられた草太と再会した。
新海監督曰く、芹澤はこの映画で唯一のモラトリアムの中にいる人間だそうだ。だがこれを期に卒業できただろう。車も手放すのがそれらしい流れかもしれないが、綾織駅の前から禁煙を始めたことで芹澤の成長を表現したとの監督コメントもあるので、車まで諦めるかどうかはわからない。
芹澤はこれから草太に、閉じ師という家業の最中に氷漬けになって死ぬかと思ったけど鈴芽さんに助けてもらった、閉じ師は大事なことだからこれからも続ける、みたいなことを告白されるわけなんだけど、どうにか受け止めて友人関係を続けられるはず。