メモ帳用ブログ

色々な雑記。

疫病といえば、鹿の王のアニメ映画はイマイチだったな。作画クオリティは高かったけど、シナリオと演出がボリュームある原作の内容を案の定表現しきれていなかった。特に世界の多重性がうまく描けていなかった。単に何がなんだかわからない感じになっている。異文化との出合いで長所を取り入れ合い短所を克服し合えれば、という原作の理想が、文明が野蛮を啓蒙するという一昔前の理想を書くのに失敗しただけと誤解されかねない内容に。
場面場面だけ切り出せば原作の名場面映像化集みたいに楽しめるかな。原作では引き込まれた冒頭パートが映画ではとてもツカミになるような出来ではなかったのはガッカリだけど、ヴァンとユナの集落での生活パートや、映画のアレンジも加わったヴァン・ホッサル・サエの三人旅パートは楽しめた。ホッサルのクライマックスでのセリフは上滑りしないように描けていた。
他方、「鹿の王」という全体の骨子でありタイトルにもなっているテーマは、ちゃんと印象に残る書き方になっていなかった。自分は病気うんぬんよりもここが原作で一番心に残ったところだったのに。