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色々な雑記。

すずめの戸締まりは徐々に主人公・鈴芽の抱えていたものが明かされていく、という構成なのに相方の草太が感情移入しやすいキャラじゃなくて(むしろ一番内面が見えにくいキャラ)、それでいてちゃんとエンタメとして面白いというのがユニークな作品だ。
草太が物語の大半で椅子化しているから、ナビゲーターキャラ・マスコットキャラ(魔女の宅急便のジジや美女と野獣のチップとポット夫人やアナと雪の女王のオラフなど)と途中まで錯覚させられるような構成になっているところも大きいんだろうか。こうしたキャラは主人公の内面を客観的に引き出すためのキャラで、そのキャラ自体の内面やドラマ性は希薄だ。宮崎駿監督はジジをキキの使い魔であるだけでなくイマジナリーフレンドのような存在として演出したというし、オラフも実はエルサとアナにより作り出された存在だ。これらの作品で主人公がメインのドラマを織りなす相手は別にいる。
鈴芽と草太を最後まで女主人公とマスコットキャラとして捉え、表層だけを眺めてもそれなりに楽しいようにすずめの戸締まりは仕上がっている。サブのドラマも魅力的だ。それがこのヒットの秘策だろう。
実は鈴芽・草太ともに第一印象を裏切る仕掛けが後半にあり、内面が察せるようになる。ただ、この仕掛けに心動かされて積極的に理解したいと思えないと、2人とも単に内面のないキャラという印象で終わってしまいかねないキャラクター性ではある。鈴芽は環本、草太は芹澤本の補助がないと深掘りしにくいというのも確かだ。
その点、ただの一般人でありキャラ立ちも良い芹澤や、実態はともかく見た目は猫ちゃん!であるダイジンに熱心なファンが多くついているのはわかりやすい。自分もサモトラケのニケやミロのヴィーナスにロマンを掻き立てられるような見方をしないなら一番好きなのは芹澤かな。