メモ帳用ブログ

色々な雑記。

個人的には人生経験で読解力が上がるという話を信じていない。特にいわゆる国語の読解力といった場合の狭義の読解力なら全く信じない。人生経験があると描写の細部を自分に重ねて共感した気にはなりやすくなるけど、それが本当の理解ではない場合は珍しくないからだ。むしろ理解したつもりになった細部に囚われてしまうリスクは高まる。
ただ、暗黙の了解や文化的背景を知らないと理解できない描写というものは多い。国語の問題として出す時は、知らない人が多いだろうことを予想して注釈として明文化しなくてはいけない部分だ。そうした明文化されにくい知識を蓄積し、偏りを理解して使いこなすという意味ならば、人生経験は有利に働くだろう。
読解とは細部から全体を把握しようとし、把握したつもりの全体から把握したつもりの細部を再検討して理解を深め、という堂々巡りのプロセスだ。読解力はそのプロセスのクオリティを質的にも時間的にも上げる力のことだ。