メモ帳用ブログ

色々な雑記。

面白そうな本だ。阪神大震災でも震災後=復興ではなかったという。

「震災後」を言葉にする
 タイトルの「震災後」が目を引く。災害が起きると、私たちは「復興」という言葉でその後の様々なことを語ろうとする。だが「復興」という言葉は、目指すべき地点があること、英語でBuild Back Betterと訳されるように、その地点がより良いものであることを含意する。だからこそ、この言葉は災害に巻き込まれた人々を勇気づける。しかし逆に、人々を苦しませることもある。災害の後に起きるのは決して「より良いもの」につながることばかりでも、思い通りにいくことばかりでもないからだ。では、そうした〈ままならなさ〉(本書のキーワードである)に満ちた事態は、失敗でしかないのだろうか、語る価値がないものなのだろうか。

 決してそうではない、と著者は言うだろう。著者は、災害後の日々――それがいかなるものであれ――を自ら受け止め、言葉にしようとする人々の、その言葉を丁寧に受け止め、自らも言葉で応じる。そして、そうした言葉たちをひとつの本にして、誰かに向けて送り出す。それが本書、つまり「復興」ではない、「震災後」のエスノグラフィだといえよう。