メモ帳用ブログ

色々な雑記。

先々週・先週・今週のアニメのMIX。

先々週

原作だと健丈の敗北後の赤井兄と轟のやり取りの間のとり方が好きだった部分。間で意味を伝えるタイプの作品は他媒体化が難しい。

赤井兄の人当たりのキツさは不器用だけどいい人で許されるレベルを越えてるし、轟の言動は一貫して野卑だけど、2人のやり取りは好きだ。性格が悪めの人もいい人も普通の人も、ただそれだけではない人間として描けるのがあだち漫画の魅力。1年生は輝いていたがチームが試合に負け続けて2年生では練習に手を抜くようになり、3年生になって優秀な新入生を迎えて再び輝きを取り戻すようになったが結局はチームの穴になり敗北するっていう轟の背景を、さらっと語りつつもちゃんとしんみりできるように読ませられるのが作品としての懐の深さだ。正論で言えば3年間負けにめげずに熱心に練習し続けていればチームの穴になるようなことはなかったはずだけど、高校野球をやってるのはそんな主人公になれるような人間ばかりじゃないのだ。あっさり消えるただの脇役にもただの脇役なりの人生。ライバルとしてこの先フィーチャーされるだろう赤井兄も、性格が悪めなのは間違いないとしても、それはそれとして愛嬌のある描写がある。第73話での監督との性格が悪いのを了解し合ってるスポーツマン同士の、ちくちく口撃し合いつつじゃれ合ってる感じとか面白い。

アニメも赤井兄弟パートの演出は良かった。話の区切りを変えたりとか、アニメはそれぞれの家族・兄弟を全面に押し出す方針なのかな。

あと原田正平はいとうあさこの読んでるタッチの1巻には登場しない。

先週

すごく良かった。個人的には、赤井弟の(誕生日を)「自分でもすっかり忘れてたけどね。」が、原作の赤井兄から「くれてやらぁ、明日の誕生日プレゼントにな。」と言われたことを思い出しながら言ってるニュアンスじゃなくて、また誕生日を忘れて三田妹の誕生日プレゼントで思い出したっぽいニュアンスになってるのは気になったけど、そこ以外は全部良かった。原作消費ページが少ない回だから原作から演出で膨らませた部分が多くて見ごたえがあった。春夏が三光学園を覗こうとしている下りの動きも、後輩組のプールのパートも、春夏がマネージャーに加わってからのギャグもどれも面白かった。特に赤井弟が音美が好きだとはっきり自覚して夏野にしゃべる部分の青春感。今回の話のメインは後輩組の恋愛模様だな。

今週

投馬が三光学園をノーヒットに抑えて上杉達也と重ねられるシーンはこのアニメのノリだとこう描写するしかないかな。原作だとこの時点では読者が上杉達也のことをわかってる前提でいつもの主人公似てるネタの延長的にあくまでニヤリとできる程度の描写にとどめてたけど、アニメだと顔まではっきり映して立花投馬と上杉達也が似ているのを話の主軸としてあつかうことになる。MIXは連載当初はタッチの続編として構想されていなかったというだけあって、投馬と達也が半ばメタ的にそっくりという点が意識されずに始まってて、今連載している原作でもまだ落とし所を探っている印象がある。うまく扱えたら面白いネタだし最終的にはどうにかなるんだろうけど。ただ、MIXではできるだけ「主役顔」な達也の顔は真正面から描かないようにしてるくらいだし、もし最初からタッチの続編として始まって達也をそれなりにフィーチャーするとわかってたら投馬の顔はいつもとは違う「主役顔」になってたのかも?前担当編集の市原の言葉だけど、「主役顔」が1人だというのは重要らしい。

達也が3年生でたどり着いた地点に投馬が1年生でやって来たってのは今の原作展開を考える上で実は重要かも。そこは地区大会の決勝を前に亡くなった和也が1年生の時に通過した地点でもあるんだろうけど。これからの2年生や3年生の夏で投馬はどこまで行くのか。なまじ実力は危なげない分ドラマの着地点がわかりにくいのはKATSU!の活樹とかと印象が被る。あだち漫画はだいたいそうだけど、KATSU!も面影との向き合い方がテーマになる話だったし。

アニメだと投馬と走一郎は兄弟として日本一と音美が走一郎に話す部分が良かった。話全体のテーマに関わってくる部分だし、演出も極めてマジなトーン。ただし走一郎が考えているのはあくまで自分と春夏も性格は反対でもうまくやれるはずだってことだというズレの面白みがよく出てた。