中国語の「团聚」には日本語の「団欒」のようなニュアンスに加えて、多くの場合は離れていた親しい人間が再び集まるという意味合いがある。
中国の検索サイト百度で「团聚」の画像検索をするとこうなる。

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白小小はかつて何にも邪魔されることなく一家団欒を送っていた。しかし人食いの三眼が現れ、村長は自分の家族だけを守るために口実を探して白家に犠牲を押し付けた。

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《日月同错》第七回 千年债偿 下-在线漫画-腾讯动漫官方网站 1/13

 

両親を生贄に捧げられ白小小は家にひとり取り残された。

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《日月同错》第七回 千年债偿 下-在线漫画-腾讯动漫官方网站 6/13

それにしてもメタ的にド直球の死亡フラグ会話だ。
小:也许今天能死掉也是好事。早日跟爹娘团聚就好了。
小:真的好想念他们。
高:不行!
高:如果你真想与爹娘团聚
高:我高皓光绝对不会允许你这么苦丧着脸去见他们。


小:もしかしたら今日死ねるのもいいことかもしれません。早く両親と再会して団欒(团聚は日本語の団欒のようなニュアンスに加えて、多くの場合は離れていた親しい人間が再び集まるという意味合いがある。)できればいいのに。
小:本当に彼らが恋しい。
高:駄目だ!
高:もし君が本当にまた両親と一緒になりたいのなら
高:この高皓光は君がそんな辛そうな顔で彼らに会いに行くのを絶対に許さない。


白小小の回想でもわかる通りに、白小小にとって辛かったのは家族の団欒を奪われたこと。白小小は罪人とされていた先祖を恨むことでこの苦しみに耐えていた。しかしそのせいで先祖の罪を子孫の罪と思い込んで現状の問題から目をそらそうとする悪習を、村人と白小小は共有してしまうことになった。そして真実を知った白小小は村の大人を皆殺しにし、仲良くしていた子どもたちの一家団欒を奪ってしまった。

三川では呉家の人間も黒血で法力を吸いつくされて干からびた死体にされてしまった。当然その人は求法者だ。「法尸黑血化人之术」を使われたという。死体は一応残っているので屍疫(屍瘟)とは違う術だ。求法者を含めた生者の生机(生気)を吸収するようだ。それに対し屍疫は凡人の身体を蚕食して法力に変換してから吸収する。
第4話で姜明子は屍疫について説明した。
□井戸の絵
「他们常常会把尸血滴在凡人常用的水源处。令凡人应用。」
(彼らはしばしば屍血を凡人(仙人でない普通の人間の意)がいつも使う水源に垂らす。凡人に使わせる。)
□井戸のある村の絵
「身体本也强健的凡人,倒不会有甚影响但若不是的话。慢慢地…」
(身体が元々強健な凡人なら、あまり影響は出ないがもしそうでなければ。ゆっくりと…)
□右腕が消失した成人男性の絵
「身体便会一部分一部分的消失掉,被蚕食掉。」
(身体が一部分一部分と消失し、蚕食される。)
□全身が縮んで干からびた人間の絵
「直到最后会消失无踪,而被蚕食的生者…」
(最後には跡形もなく消失し、更に蚕食された生者は…)
□いくつものエネルギー球を吸収している法屍者の絵
「会化为法力,融入附近那黑血主人体内,助其修行变强。」
(法力と化して、近くの黒血の主人の体内に溶け込み、強くなる修行を助ける。)


この文章からすると、生者は蚕食され尽くして跡形もなくなってから法力と化して術者の体内に溶け込むと解釈するのが自然に思える。なお白大の一家だけ無事だったのはたまたま村外れに住んでいて別の井戸を使っていたためだと明言されている。この時点だとまだ三眼は白大のことを認識していないので特別の考慮などはしていない。
ただしこの文章を違う意味に解釈する余地もなくはない。消失する身体が少しずつ法力に変換されてその都度術者に吸収されるとも読める。「蚕食された生者が法力と化す」ではなく「蚕食された部位が法力と化す」と書かれていたら確実にこちらの意味になった。
どちらにせよ普通に考えれば三眼は黒山村の人間を大量死させるつもりで屍疫を使ったことになる。

三眼は自分のことを全く悪いと思っていない。人間も屍者と同じことをしているのに屍者だけ責められるのは酷いと考えたり、黒山村の人間の嫉妬と蒙昧さのせいにしたり、白大を長期間(数ヶ月?)追い回した挙げ句姜明子に自害させられたという責任転嫁のしようがない件は完全にスルーして過去語りをしたりする。自分に都合のいい性格をしている。
ちなみに三眼が白大について語っている部分に翻訳で印象がかなり変わっているコマがある。中文版だと、旅立って半年もかかったが白大自身予想していなかった、自分は仙人から妙薬を手に入れた(、そう興奮しつつ帰宅した、という次のコマのセリフに続く)、という内容のセリフが白大と姜明子が向かい合っている絵のコマに入っている。日本語版だとこの絵のコマに、白大は村がこんなことになっているとは予想していなかった、という中文版とかけ離れた内容のセリフが入っている。そのため白大と姜明子が出会った時には既に家族が手遅れになっていたような印象になってしまっている。

某メタ系アメリカンパニックホラーと同じで、西暦1906年の黒山村の住人は人外の存在に気がついた時点ですぐに自分だけ逃げるのが唯一の正解だった可能性がある。三眼は千里眼を持っており、西暦525年では村から遠く離れた白大と阿柴を見逃さずに傀儡に追いかけさせた。でも目立たなければ運良く見落とされる可能性もゼロではない。

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映画『マイノリティ・リポート』を見ると、現代のアメリカでは公共の福祉を盾に個人の自由を脅かされることをどう捉えているのかわかるような気がする。また、聞こえがいいように思える目的刑論が行き過ぎた場合に現れる弊害を描いていることもユニークだ。ただし同じアメリカ人でも原作者のフィリップ・K・ディック(1928〜1982)はその部分をテーマとしていなかったので、原作である小説では結論が違う。
映画『マイノリティ・リポート』に影響を受けているアニメ『PSYCHO-PASS』やアニメ『ID:INVADED』も違った結論を出している。良くも悪くも日本人の社会に対する感覚はこういうものだと思う。

一口に先進国と言っても人権のどこを重視するかは国によって異なる。正義のあり方も国によって異なる。
市民革命の先駆けであるイギリス・アメリカ・フランスの3国でもやはり重視する部分には違いある。
国王による統治を否定して自由を勝ち取ったが王政の廃止はしなかったイギリスでは、自由を重んじる傾向が強い。イギリスから独立して自由を得たアメリカでも自由を重んじる傾向が強い。フランスは王政を武力で廃止したこともあって平等を重んじる。フランス革命の影響を受けたヨーロッパ大陸諸国でも同じく。
近代のフランスは平等の観点から国民皆兵を実現するために強制的な徴兵を行った。都市部では受け入れられたが、農村部では反発された。大規模な農民反乱が起き、鎮圧のための虐殺さえ発生した。
イギリスでの徴兵は第一次世界大戦時と第二次世界大戦勃発直前から終戦までという短い期間に限られる。
またヨーロッパ大陸諸国は自力救済に対する制限が強く、英米は制限が緩い。