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第3話で三眼は「小姑娘,把这两位活着绑给咱(小娘、その2人を生きたまま捕縛してオレによこせ。)と言い、白小小は2人に「如果你们不把自己绑起来,小女子就咬舌自尽!(もしあなたたちが自分を捕縛しないなら、私は舌を噛んで自殺します!)」と言った。第4話でも2人を村へ連行しながら舌を軽く噛んで脅し続けている(1Pめと2Pめの最下段のコマ)。この会話は日本語版でも特に改変されていない。

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《日月同错》第四回 千年两面 下-在线漫画-腾讯动漫官方网站 1~2/21

(中文版)
白小小
「你们...请跟紧一点,切勿逃遁哦!」
「指」
高皓光と黄二果
「……」
黄二果
「姑娘?
俺们刚才也是替天行道。
乡亲们不会怨恨俺们吧?
若担心那具法尸报复,不如让我们去城里请更强大的求法者前来相助如何?」
白小小
「你们只是想借机开溜罢了。
只要你们开溜小女子就自尽。
咬舌不成那就跳崖!」
黄二果
「啥?」


(直訳)
白小小
「あなたたち...もうちょっとちゃんとついて来てください、絶対逃げないで!」
「ほら」(噛んだ舌を指差す)
高皓光と黄二果
「……」
黄二果
「お嬢さん?
吾輩たちは先程も天に替わって道を行った。
村人たちが吾輩たちを恨むはずがないのでは?
もしあの法屍者の報復が心配なら、吾輩たちが街に行ってより強い求法者に助けに来てもらったほうがいいのではないかな?」
白小小
「あなたたちはただこっそり逃げる機会をうかがっているだけ。
あなたたちが逃げたら、私は自殺します。
舌を噛んで駄目なら崖から飛び降ります!」
黄二果
「ええっ?」

村のための犠牲者を、村の仲間から選ぶのと、村と無関係な通りすがりの人間から選ぶのと、どちらがまだ倫理的にマシと思えるかは文化や思想によって意見が分かれるはずだ。自分は前者のほうがマシだと思う。でもやるなら後者がいい。
村の外の悪人を犠牲にできるならそれが倫理的にも心情的にも一番マシだ。言いがかりで外に悪人を作ってしまったら問題だけど、世の中の争いはそんなのが多い気はする。

白小小を見ればわかるとおり、生贄を捧げなければ村人全員を殺すと言われて、やむを得ず従ってしまうのが普通の人間だと思う。その状況下で生贄を捧げるのを邪魔した人間に怒鳴ったり暴力を奮ったりするのも、褒められた行為ではないけど、まあ普通の行為だと思う。
もし白小小がいわゆる聖人キャラだったら、三眼から2人を連行するように命令された時や三眼が2人を傷つけようとしたがやめた時に、「私が生贄になるからそれで十分でしょ?村に関係のない2人には手を出さないで!」くらい言う余地は一応あったのかもしれない。でもそうそう言えることではない。白小小は自分の両親が生贄を引き受けた時も、気付いていながらそれを止められなかった。これも別に責めるようなことでもない。
高皓光が村人を家畜と言うなら、白小小はそれと同じくらい家畜だったというだけの話だ。白小小は強い者に流されて生きてきた。村長に流され、三眼に流され、とうとう天意の傀儡になって村の大人たちを皆殺しにしさえした。高皓光は私情でなく正義感で白小小を助けたかったのなら、実は裏で三眼と取引していた村長たちはともかく、他の村人は助けてやるべきだった。三眼が村人全員の命を人質にして生贄を要求した村と聞いていた村人に何かを求めるのは酷だ。高皓光も事件の後は自分の正義感の問題を反省できたはずだ。

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(中文版)
三眼
「小姑娘,把这两位活着绑给咱,
不然...
就拿你们全村人的性命来赔偿。
咱今晚去取......
不是他们俩个,
就是你们全村三百二十二口。 」
黄二果
「走了?」
白小小
「求您们昏过去吧!」
「大家都要被你们给害了!
如果你们不把自己绑起来,小女子就咬舌自尽!
(为什么不昏过去!)」
(直訳)
「小娘、その2人を生きたまま捕縛してオレによこせ。
さもなくば…
お前たち村人全員の命で償ってもらう。
オレは今晩取りに行く……
彼ら2人か、
もしくはお前たち村人全員の322人かを。」
黄二果
「行ったか?」
白小小
「あなたたち気絶してください!」(白小小が2人の延髄を殴る)
「みんながあなたたちの犠牲にされます!
もしあなたたちが自分を捕縛しないなら、私は舌を噛んで自殺します!
(どうして気絶しないの!)」


三眼は白小小に2人を捕縛しろと命令した。一般人なら強くない傀儡でも食えるけど、法力で抵抗できる求法者を食うともなれば、縛った上で本体が直接食いに行く必要があるようだ。しかしその場の誰も縄のたぐいを持っていなかった。だから、あなたたちが自分を捕縛しないなら舌を噛んで自殺するという白小小の脅しには、縄のある黒山村へ一緒について来いという意味も含まれている。間違っても、これから村まで縄を取りに行くからここで待っていてね、なんて展開にはならないだろう。2人は逃げないかもしれないが、白小小も三眼もそんなことは信じない。
また、三眼は2人を取りに行く場所について明言しなかった。しかし、「オレは今晩取りに行く…… 彼ら2人か、 もしくはお前たち村人全員の322人かを。」というセリフからして、2人か村人全員かを黒山村へ取りに行くということだろう。実際、三眼は黒山村に2人と白小小を受け取りに現れた。「今晩取りに行く」は、夜まで待つからそれまでに捕縛するなどの準備を済ませろということで、のんびり歩くと夜になるからそれまでずっとそこで待っていろという意味ではない。
日本語版だと「…ムスメ ソコノ二人ヲ生キタママ 捕ラエテコイ サモナケレバ… 村人全員ノ命デ償ッテモラウゾ 今夜取リニ行ク ソレマデハ… 村人ハ生カシテオイテヤル」なのでどこに取りに行くつもりかわかりにくい。「绑(縛り上げる)」のニュアンスも薄い。そこに取りに行くからそこを動くなという意味にさえ思えてしまう。ただ、「捕ラエテコイ」という部分からは、別の場所に移動させたいらしいことが察せなくもない。
三眼の発言は別の解釈も一応できる。三眼は千里眼を持っている。だから2人が捕縛されさえすれば、どこだろうと感知してそこへ取りに行くつもりだった可能性はある。

黒山村の村長を高皓光が殴ったのは、村の犠牲にされた人間に無慈悲な追い打ちをかけたせいだ。村人が屍者に脅迫されて生贄を差し出し、白小小の両親が犠牲になり白小小の番が回ってきたと聞かされただけの時は、村人に怒っていなかった。人間が屍者の脅迫に屈したこと自体を怒っているのではない。
三眼は生贄を食うのを余所者に邪魔されて、特に手抜かりのない村人全員の命を人質にして生贄を脅迫し、余所者を連行するように命令した。それほどに凶悪な屍者だ。そんな屍者が支配している村に生贄が突然生きて帰ったら村が大騒ぎになるのは目に見えている。村人全員を殺害しようとしているも同然の行為だからだ。下品な行為だが、村長が白小小を殴って周りの村人が白小小をなじったのは一番ありえる成り行きだったと思う。
しかし12歳の子どもである高皓光には完全予想外だったらしく色々と過剰反応をする。もしかしたら生贄である白小小が縛られも動けないよう傷つけられもしていなかった(単なる話の都合)ことで、村人も本心では白小小が逃げることを望んでいたと勘違いしたのかもしれない(強引すぎる解釈)。若い女性を殴った年寄りを感情的に殴ってしまうのは自分にも理解できる。でも恐怖の山中に閉じ込められていた年寄りを、いきなり安全圏からやってきて冷静に上から目線で説教した挙げ句に殴るのは下品だ。あの人の良さそうな馬朝師匠の言葉を村人を殴る口実として利用しているのも印象が悪い。黄二果は最初村人を攻撃するよりも協力を得ようとしていたし、師匠があの場にいたとしてもそうしただろう。村の年寄りに三眼と交渉した人間がいたとバレる前だったら、そっちの方が賢明な判断だ。高皓光は白小小が村人を虐殺し始めた時も師匠の教えに縋ろうとした挙げ句、一応は自分で考えるものの、結局は何もできずに最悪の結果を招いた。ただ12歳であることを考えると、あの場で高皓光に何かをさせようとした周りのほうが間違っている。
白小小はそもそも高皓光と黄二果と自分を三眼に殺させるつもりで村に連れて行っていた。3人が村人に暴行されて縛られようとむしろ願ったり叶ったりだった。2人が三眼を退治したり事態を解決したりすることには全く期待していなかった。2人と交流を深めた後も、2人が三眼に殺されそうになるのを目の当たりにして反射的にやめてと叫ぶまでは、命を助けたり逃したりしようとしたことはなかった。
黄二果には白小小を見た村人が騒がないよう取り計らう余地があったかもしれない。しかし逃げれば自殺するという白小小の脅しに萎縮しきっていた。街の求法者に助けを呼ぼうというもっともな提案をした時も、白小小からはそんなことを言って逃げるつもりだと却下され、目の前で舌を噛む真似さえされてしまう。

日月の黒山村編では、中文版の「活祭(生贄)」が日本語版だと「復活」と誤訳されている。それに伴いストーリー上重要なポイントがいくつも改変され、不自然になっている。
中文版では
①白小小は、生贄を要求する屍者が現れて村人全員の命を人質に取って脅迫したために、やむなく白家は生贄にされたと信じていた。白家は千年前の罪人の子孫だとされていた。
②生贄を捧げている件に対して、村長は通りかがりの求法者は全て殺されたし、三眼は外敵を食ってくれると主張する。高皓光は柵もないのに逃げないのはおかしいと言い、村長は三眼の神通は広大で生贄を捧げている3つの村から生きて逃げられた人間はいないと反論する。しかし白小小の後はもう捧げる義のある生贄はいないと高皓光にやり込められる。
③三眼が千年前に先に手を出したのは村人のほうだと暴露する。また、村人や馬賊を食っていたら、複数の村の年寄りのほうから生贄を持ちかけてきて、それは家族を三眼に食われないようにしたかっただけだと暴露する。
④白小小は先祖の罪も脅迫も嘘だと知って怒りを爆発させてしまう。
という流れだ。
日本語版では
①白小小は、村人は自分たちの手で三眼を復活させようとしたと思っていた。
②村人が逃げないことに対して村長が生きて逃げられた生贄はいないと反論し、受け答えが意味不明になっている。3つの村の村が生贄を捧げているという情報も削除されている。
③村人や馬賊を食っていたら村の年寄りが生贄の交渉を持ちかけてきたと暴露する。だが日本語版では村人が三眼を復活させようとしたと信じられていたので、三眼の暴露は村人の緊急避難性を増してしまい、むしろ擁護になる。
その代わりにか複数の村が生贄を捧げたという情報が削除され、黒山村から白家以外も生贄にされたような印象に改変されている。しかし、これだと黒山村は定期的な生贄のために白家を捧げることをなるべく避けようとしていたことになってしまう。犠牲を押し付けられた白家と押し付けた村人という対立構造が崩壊する。白家以外の村人からも犠牲が出ていたら高皓光と村長の口論が意味不明になる。
約300人の小さな村で白小小も白小小と頻繁に接触していた子どもたちも白家以外の行方不明者を知らなかったこともおかしい。日本語版では数百年に一度、大きな戦乱が起きるごとに三眼を復活させていて、白家以外の生贄はその時に捧げられたと考えるとするなら、動き回れる状態の三眼が何度も長期間休眠する意味がわからない。外敵を排除できるほど傷が治っているなら休眠せずに人間を食えばいい。黒山村のために休眠してやる義理はない。三眼は白大の子孫が黒山村にいるとは知らなかった。中文版ではあくまで傷が治りきっていないために千年以上休眠していた。
④日本語版では白家以外も黒山村から生贄に出されたことになっているので、白小小の怒りの半分が意味不明になっている。

現代でも、ノーマスク運動とかやってる人間に一分の利はあることは理解しているけど、自分は正直全員逮捕されてほしいと思っている。もしマスクをつけていないだけの人間を問答無用で暴行する集団が現れたとしたら、そっちのが害が大きいからそっちをより強く非難するけど。