メモ帳用ブログ

色々な雑記。

料理バトル漫画とかの採点競技に近いジャンルだと、実際は個人の好みの違いが大きい部分にまで優劣の「正解」があるように描写しないといけない。だからそれっぽい薀蓄が重要だ。例えば美味しんぼだと序盤でアンキモはフォアグラよりも明らかに上だと断定している回があったりする。現実的に考えるなら好みの問題だろうけど、食べ比べた全員がアンキモのうまさに屈服する。とどめに、第1話で非凡な味覚と料理知識を持つことが描写された山岡士郎がそれっぽい薀蓄を垂れる。少なくともこの回ではアンキモはフォアグラよりもうまいという「正解」が存在すると読者が納得できる話運びになっている。これがフィクションのリアリティだ。
山岡士郎はニセ食通を超えた「本物」の味がわかる人間として描写されている。父・海原雄山が大変な美食家で幼い時から英才教育を受けていた上に、そうして培った舌を食の固定観念以上に信じられる人間だからだ。その点初期の海原雄山は知識も舌も申し分なかったが、驕りから固定観念に囚われているきらいがあった。そのため山岡士郎から度々反撃されることもあった。しかし元から美食への探究心は強い人間だったのですぐに驕りを捨て、それまで以上に高い壁として立ちはだかる。