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色々な雑記。

ウクライナ侵攻と環境問題の関係で言うと、ドイツがロシアの制裁に及び腰なのはロシアが主な天然ガスの輸入先であるせいで、ドイツが天然ガスを大量に消費するのは独自の脱炭素政策のせいなのは間違いない。脱炭素を掲げる反面、ゼレンスキー大統領から批判されたように経済のためにロシアの天然ガスへの依存を高めてきた。「経済、経済、経済だ」。


ドイツは環境政策の一環として脱原子力を推し進め、脱炭素政策として石炭・石油の使用量を削減している。再生可能エネルギーの増加で賄えない分は天然ガスで補った。だが当然天然ガス化石燃料であり炭素だ。ガスの種類にもよるが、発電量あたりの二酸化炭素排出量は石炭が10だとすれば、天然ガスは6程度ある。石油の8と比べても劇的に低いとまでは言えない。窒素化合物や硫黄化合物の排出量も考慮に入れるなら環境に低負荷だとより主張しやすくなるが、やはり将来的な廃止が目指されているものだ。あくまでエネルギー政策の過渡期に頼るものでしかない。ドイツも2050年までに発電での温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目標にしている。
2022年2月に発表された欧州委員会の方針でも、天然ガス発電は原子力発電と同じく、一定の条件下で「カーボンニュートラルへの移行期に必要な経済活動」に位置づけられている。だが、厳しい条件付きとはいえ、この2つをグリーンエネルギーとして認めることには異論が相次いでいる。
ガスをグリーンエネルギーに含めることにはオランダ、デンマークオーストリアスウェーデンなどが反対し、原子力を含めることにはドイツ、オーストリアデンマーク、スペインなどが反対した。ドイツは政府としては天然ガス推進派だが、緑の党などは天然ガス原子力ともに反対派だ。東欧諸国は環境負荷の高い石炭発電から脱却するために、まずは天然ガス原子力の両方を認めてもらいたいという立場を取っている。

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原発・ガス「持続可能」 欧州委が法案、民間資金を誘導: 日本経済新聞

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EUタクソノミーに天然ガスと原子力 | 日経ESG


ロシアのウクライナ侵攻を受けて、ドイツはロシア産の天然ガスや石炭、石油からの脱却を図ると発表した。化石燃料輸入国の多角化を図るとともに再生可能エネルギーへより注力するという。一方、一時浮上した原子力発電所の稼働延長案は退けた。