メモ帳用ブログ

色々な雑記。

複雑なことって一部分だけ語ると語り残しが気になってしまう。H2のラストの33・34巻はそれまでの展開を膨らませ直している点が多いことも含めて、多くの要素が多角的に絡み合っている。比呂・英雄・ひかりはもちろん、春華の気持ちも表に出ているのが全部じゃない。

まず、最終話で比呂はおそらく22巻ほどでないにしてもろくに寝れなくて布団から出てきている。もっと早く起きていた春華はどうだったのか。本当に早起きなのか、寝れていないのか。

22巻で、比呂をひかりが抱きとめている場面を春華は見てしまっている。この夜に春華もほとんど眠れなかったというのは負けて落ち込んだ比呂の様子が気になっていたからなんだろうけど、それでも気が付かないうちに比呂はどこかへ行ってしまっていた。基本的に素直な春華とはいえ、自分が海で2人を見たこともそれで傷ついたこともそのままを口にできる話題じゃない。でも新幹線での「どこにも行かない!?」いう言葉と、肯かれて気が緩んで寝た時の「……なんで。」というつぶやきで比呂には悲しみを察されてしまったし、後でその理由にも気が付かれている。

33巻では比呂と春華は一応両思いで付き合っているんだけど、比呂にひかりへの思いが少なからず残っていることはお互いにわかっている。大切な幼なじみである比呂への気持ちの整理はひかりの方だってまだついていない。がんばったよねの回で抜け出すからごまかしてくれと頼まれた時、春華は比呂がひかりに会いに行こうとしているのに気が付いているし、比呂も気が付かれていることに気が付いている。比呂は必ず戻ってくると言い、春華もわかったと答える。このやり取りが終盤の春華の気持ちのすべてなのかもしれない。春華は比呂・英雄・ひかりの間に何が起きているのかを具体的には知らないけど、何かが起きていてそこに自分が立ち入らせてもらえていないのは察している。それでも心から応援しようとするし、ひかりの母親の思い(と春華は知らないけれど「負けを認めることでスッキリしようとしていない?」という警告)が比呂を支えていると信じている。

試合後に比呂が泣いた本当の意味を春華は知りようがない。カラオケでの言葉だって、野田の反応をうかがったとかでなく、たぶん本当にそう思ったんだろう。春華が何の不安もなく比呂を信じられたのか、不安を振り払いながら信じようとしたのかをうかがい知るのは難しい。それでも春華が最後に比呂がどこにも行かないことでなく、2人で同じ場所に行けることを喜んだのは確かだ。