メモ帳用ブログ

色々な雑記。

風立ちぬ』の内容に対する個人的な不満はラストの「あなた、生きて」は元の案通りの「あなた、来て」の方が自然だったということくらい。


初夜の時の「来て」や、家で設計をしている二郎に言った「来て」との繋がりから考えても、ラストの菜穂子は「来て」と言う流れだったように思う。ただ「来て」と言うのが当然の流れで「生きて」と口にださせることになった点を深読みすれば、菜穂子自身も様々な葛藤の末に「生きて」と言い残したと解釈できなくもない。あれで二郎は菜穂子が山の病院へ去っていったことを虫の知らせで感じ取る程度には菜穂子と魂が通じ合っている男だ。菜穂子が迷いなく「生きて」と言ったのか、迷いを押し殺して「生きて」と言ったのか、どちらにしろ本心は二郎に伝わっただろう。
二郎と菜穂子はお互いに相手に対する初恋の幻想を壊さないまま関係を完結させた。そしてそうするのがお互いに一番ふさわしいことをお互いにわかり合っていた。