メモ帳用ブログ

色々な雑記。

宮崎駿監督は年をとってから「現代文明はもう駄目だ」というようになったタイプの人間ではなく、若い頃からずっとそう言っていたタイプの人間だ。

天空の城ラピュタ』の舞台設定も「機械がまだ機械の楽しさを持つ時代、科学が必ずしも人間を不幸にするとはきまっていない頃」と企画書に書かれている。現代はもはやこうではなくなったことが意識されているのがわかる。宮崎監督は1990年のインタビューでも「東京は人間の住む場所ではない、東京に住みながら人間性を保とうとするのはナチスに入りながら人間性を保とうとするのと同じ」という主旨の発言をしていた。
しかし1991年に高畑勲監督が『おもひでぽろぽろ』を発表。そこに東京の人間は田舎に行くべしというメッセージがストレートに表現されていると感じた宮崎監督は、新たなテーマを掴まなくてはいけないと感じたという。宮崎監督が企画・脚本・絵コンテを担当した『耳をすませば』は、これまでとは違い、現代の東京に生きる若者を応援しようという姿勢で制作された。これと同じ気持ちで作られた作品が『もののけ姫』だそうだ。もはや人類は自らの意思で文明を捨てることはできない、呪われようとアトピーまみれになろうとたとえ文明の破局が待ち受けていようと、それでも人類は現代とともに生きようという作品だ。