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色々な雑記。

ロシアの産業といえば化石燃料関連が有名だけど、実は核燃料の輸出国でもあったりする。


現在、世界一のウラン産出国は旧ソ連圏のカザフスタンだ。

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第2部 第2章 第2節 一次エネルギーの動向 │ 令和2年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2021) HTML版 │ 資源エネルギー庁

ロシアはカザフスタンなどからウラン鉱石を輸入し、濃縮ウランを製造して世界中に輸出している。ロシア連邦原子力省を母体とする国営企業ロスアトムと子会社(TENEXなど)のシェアは世界の35%以上を占める。
日本で福島第一原発事故が起きた後も、ロシアは原子力事業を推し進めた。技術力が優れているとは言えないが、安い費用や使用済み核燃料の処理を引き受けるなどの魅力あるオプションで原発輸出に取り組んだ。現在中東欧ではハンガリーがロシアの技術支援を受けて原発の新規建造を進めている。また、日本の原発業界も国内での新規事業が絶望的になったことから半ば国策として国外進出に活路を見出そうとした。しかしほぼ頓挫し、建設中の原発も事実上凍結されている。アメリカはかつては核拡散防止のため原発輸出に否定的だったが、ロシアの進出を警戒し、積極的に技術支援を行うようになった。欧州の原子力大国であるフランスも積極的に輸出を後押ししている。中国も一帯一路構想の中東欧進出の一環として原発輸出に乗り出そうとしている。
現在、中東欧では原発のニーズが高い。EUの推進する脱炭素目標を達成するために早急に石炭に代わるエネルギー源を必要としているからだ。この地域は旧ソ連時代から工業地帯であり、安価で自給自足できるエネルギーとして石炭による発電に依存してきた。ソ連時代に建設された原子力発電所は老朽化している。再生可能エネルギーは初期コストが高く、供給が不安定で、技術的なハードルも高いため、中東欧諸国にとっては未だに現実的な選択肢ではない。またこれらの国は多くがロシアに対して警戒感を持つためロシア産の天然ガスに依存することは避けたい。同様の理由によりロシアの原発輸出にも頼り難い。中国は開発協力での中国の要求が強くなりつつあり、また香港やウイグルなどでの人権問題の懸念もあって、かつてほど魅力的な取り引き相手ではなくなった。一方アメリカはバイデン政権が対中包囲網形成のために欧州との関係改善を図った。これらの理由により、ハンガリーを除く中東欧諸国ではアメリカから技術支援を受けて原発を新規建造する計画が盛んに持ち上がっている。ただしポーランドチェコEUの脱石炭には概ね歩調を合わせるようになったものの、欧州連合域内排出量取引制度やロシア産天然ガスの高騰が大きな負担となった。システムの改革を求める声が上がっている。








他方、環境政策の優等生として知られるドイツは意外なほど化石燃料に対する依存度が高い。電源構成に占める石炭火力発電の割合はEUの平均値を大きく上回っている。また、石炭のうち低品質で環境負荷の高い褐炭の割合も高い。

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「石炭依存」の中東欧諸国が脱炭素化に反対しないワケ…背景に原発新設の動き | Business Insider Japan

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ドイツ再生エネ46%、初めて化石燃料を上回る 19年: 日本経済新聞

ドイツはヨーロッパ有数の褐炭産出量国だ。特にこの冬は寒波と風量の不足による発電不振が重なり、褐炭発電を大幅に増やさざるを得なかった。
こうした現状はドイツが環境政策において脱炭素よりも脱原発を優先したために生まれた。ドイツは地理的条件に恵まれていないため水力発電に頼ることはできない。ドイツの隣国のオーストリアアルプス山脈の端に位置しドナウ川など多数の河川の流域であるため水力発電が盛んで、脱原発ではヨーロッパの先駆けとなり、近年の脱炭素も滞りなく行うことができた。