メモ帳用ブログ

色々な雑記。

すずめの戸締まりの災害の部分は普遍的なテーマだと思う。地震が頻繁に起きる地域は限られるけど、災害そのものはどの時代、どの地域にもある。特に説明はなくてもトルネードなりハリケーンなりブリザードなりに置き換えて理解することは難しくないだろう。
ただ、作品に深みを出している、国全体を覆うぼんやりとした衰退の気配、みたいな部分はいわゆる注釈が必要な箇所かもしれない。でも都市のスポンジ化は日本特有の現象だとしても、大抵の先進国なら過疎化、少子高齢化、経済の停滞、そしてそれらの悪影響が真っ先に現れるのが地方であること、みたいな部分はなんとなくわかるかな。中国みたいな青年期真っ盛りの国だとピンとこないかも。

すずめの戸締まりに面白いけど内容はないと感じる人はテーマを掴みそこねている。もちろんただの観客なら内容を届けられなかったのは制作者の責任だが、プロのライターなら内容を汲み取れないのは己の不明を露呈することだ。
すずめの戸締まりのテーマのひとつに「場所を悼む」ことがある。悼むとは他者の死を悲しみ嘆くことであり、そうして死を認めて区切りをつけていくことだ。メインとなるのは東日本大震災による主人公・鈴芽が故郷の喪失を受容していくことだが、作品全体の背景となっているのは日本の廃墟の増加だ。新海監督はすずめの戸締まりの構想を練る際、廃墟や寂しい場所が増え、日本が老年期に差し掛かっている点をまず意識していたそうだ。そして現代を舞台に東日本大震災を題材とすることを考えついた。
草太という名前も廃墟にやがて草が生え、自然に還るところから命名された。人のいなくなった場所の死を悼んで土地を自然に返す閉じ師の仕事をよく表した名前だ。

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講談社が運営しているサイトの現代ビジネスは、週刊現代からの話題性重視の記事やブルーバックスからの質の高い記事が並列的に掲載されていてなかなかカオス。というか今どきのニュースサイトとかはたいていカオス。ニュースサイトとのまとめサイトみたいなYahooニュースはトピック分けはされているけど記事の質については本当にごちゃまぜ。現代ビジネスだと記事一覧ページでもライターは確認できるから、そこで記事の信憑性について判断しやすい点は良心的。

明らかに制作意図を外れた誤読からはその人間の人間性がストレートに使わってくる。対話相手の意図を読み取ろうとせず自分の思い込みを投影してはばからないという点からして既にその人間の人間性だ。
共感は英語ではシンパシーとエンパシーに分かれる。シンパシーは同類への同調で、エンパシーは異質な相手との感情の共有だ。背景や経緯が異なれば同じものを見ても異なる感情が湧き上がる。自分の置かれた状況よりも他人の置かれた状況にふさわしい感情を抱くことがエンパシーであり、同調圧力とは全く異なる感情だ。
作品のすべてを恨みと僻みと敵視でしか解釈しない人は現実世界に対してもそうなんだろうか。
ところで自分は祖父母の介護で手も金も出さないのに小言だけ言う親戚とか(よく聞くのは施設に預けたらなじってくるとか)、自宅で看取ったら看取ったで入院させればもっと長生きできたはずなのに、みたいな嫌味を言う親戚とかみたいな人間は好きじゃないよ。お花畑を押し付けたいならせめて手か金は出してくれ。