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鈴芽の実家は


海のすぐそばであり、12年経った現在も震災当時の家の基礎が残されているなど何の整備も行われていない。災害危険区域に指定され、その中でも新たな住宅の建設が禁止される移転促進区域に指定されたのだろう。防災集団移転促進事業で自治体の買い取った土地で、現在も未利用の状態にある荒れ地は少なくない。
だから鈴芽があの頃のおうちをそのまま取り戻すことはどうしたって不可能なのだ。鈴芽が福島県の帰宅困難区域に自分の故郷を無意識に重ねた理由もおそらくその点にある。
鈴芽の実家のあった地区に住んでいた人々のうち、何割かは数年後の高台移転事業の実施を待ってコミュニティを再建し、何割かは地元を離れて他の場所に移り住んだはずだ。この震災ではそうして多くのコミュニティが分割され、縮小されてしまった。これも震災によって引き起こされた悲劇のひとつだ。
正直、どちらも象徴的な演出がなされているとはいえ、在りし日のコミュニティの描写が少ないことや、高台移転により再建された場所の描写が織笠駅しかないことには物足りなさがある。