メモ帳用ブログ

色々な雑記。

H2の「おしかったね」

野球が大好きで千川の選手としては活躍し続けてきた柳。それでもプロはあきらめて正解という自己分析をする。もしプロになれさえすれば後はずっと一軍に上がれず無一文で放り出されても構わないのならなれなくはなかっただろうけど、柳は野田と同様にそういうタイプではない。好きだからプレイすることと、スポーツのプロとしてあるいは見世物のプロとしてプレイすることにはっきり線を引くのはあだち先生の作風。プロになればきれいごととしては野球をプレイできなくなるわけで、それでも目指すのかは個人の判断に委ねられる。プロになることは必ずしも全てのプレイヤーが目指すべき到達点ではない。限界まで戦うヒーローへのロマンを持ちつつも、そうはなれずに生きていくほとんどの人間の視点も忘れない。視点はいつも主人公よりもそれを取り巻く周囲の方に置かれている。

比呂の体力を削るため出塁させたい明和一の稲川監督と、比呂は見逃し三振をするのが賢明と判断する千川の古賀監督。しかし比呂はヒットを打ち、英雄は比呂が走る間もなくノーバウンドで打球をキャッチする。稲川監督の「そうだよな。 損得勘定で動けるような本能は、本物じゃねえやな。」が格好良い。

比呂がいままでの三打席で比呂らしくないピッチングをしてきたのは最後の一打席で最初で最後の真っ向勝負をするためだ、と英雄は信じている、と推測するひかり。では雨宮ひかりが信じているものは?となり、「やっぱり…… 想像できないなァ、負けたヒデちゃんは……」と柔らかい表情で答える。比呂が真っ向勝負をすると信じているはずの英雄とそれに応えるはずの比呂を信じているし、英雄が負けないことも信じている。